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花弁雪-hanabirayuki-1

「んんぅ……」 朝、俺の携帯から目覚ましの音が部屋に鳴り響く。 必死に手を伸ばして、手探りでアラームを切る。薄っすらと目を開けると、視界には俺の彼氏がすやすやと気持ち良さそうに眠っていた。 「んぅ…朝……今日は一段と寒いな……。」 もぞもぞと動き、布団に潜っていくと彼にピッタリとくっついた。暖かい樹矢の温もりを感じる。 もうちょっと寝よう。と、俺は再び眠りについた。 _______________ それから30分後。 またアラーム音が鳴る。 「んー…!」 俺はベッドからゆっくりと起き上がり、伸びをした。 「うぅん…しゆ…ちゃん?」 樹矢が俺の動きに少し目を覚ました。 「おはよ。あんたはまだ寝てても行ける時間だよ。」 今日、俺は雑誌のカフェ特集のカメラマンとして朝から一日ロケがある。 樹矢は…確か新作ブランドのモデルに起用されて、その発表会に参加するとか言ってたっけな。 寝室からリビングへ移動してカーテンを開けると雲が灰色掛かっていた。 「雪でも降りそう……。」 ロケ撮影なのに最悪だな。とか考えつつ朝ご飯を作りぱぱっと食べて、樹矢の分はラップして置いておいた。 身支度をしてから荷物を持ち、家を出る前に寝室の扉を開ける。 「朝飯作ったから、適当に食べてね。」 布団に包まって顔しか見えていない樹矢に近づいた。 ちゅ… 「行ってきます。」 軽くキスをして、俺は寒空の外へと出た。

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