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妬心-toshin-3
「樹矢が…っ…。樹矢が悪いんだよ!」
俺は顔を上げてキッと睨む。
「あんたが鶫の事呼び捨てにして、仲良さそうに話してさ…」
溢れる。
「微笑み合って…俺より近くに鶫が樹矢の傍にいて…」
次々と流れるように溢れる。
「それを俺は見続けることしか出来なくて…嫌で嫌で堪らない…。」
抑えていた感情が自分ではどうにもならない程に溢れてしまう。
「あんたは俺の恋人なのに…!俺のなのに!」
ハッと気づいたら目の前が見えづらくて、樹矢の顔が揺らめいていた。掴まれてた腕は解かれて、樹矢の手が俺の頬に触れる。
その瞬間、涙が止まらなくなった。
「うぅっ…ひっ…っう…みぃく…」
何も言わず樹矢は俺の身体をゆっくりと包み込んだ。樹矢の体温をじんわりと感じ、涙を流す俺の頭を大きな手で優しく撫でる。
「しゆちゃん。それ、ヤキモチって言うんだよ?」
樹矢の言葉が俺の心にストンと落ちた。
「ヤキ…モチ…。」
鶫が羨ましくて、写真の被写体にはなる事が出来ない俺は鶫に嫉妬していたんだ。
俺は、自分が思っている以上に樹矢が好きなんだ。こんなに感情的になるなんて思っても見なかった。
「俺が鶫にヤキモチ妬いてたのに、しゆちゃんはそれ以上ですごく安心した。」
怒るつもりが嬉しくなっちゃったよ。と優しく俺に言い、ギュッと抱きしめてくれる。
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