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ミモザ-mimosa-2
朱ちゃんに出会う前の過去に聞かれたことがある。
3月8日は何の日なのか。
「えーっと……。何?」
聞かれた当時の俺にとっては何の日でもなかった。特に意識する事も無く、今まで通りその日を過ごしていた。
「3月8日はミモザの日って言うみたいだよ?イタリアでは男性が愛するパートナーへミモザを
送るのが習慣なんだって」
「ミモザの日……。てか、ミモザって何?食べれれるの?」
「食べ物じゃなくてお花だよ。黄色い小さなお花」
「へぇ……」
その時はどうでもよくて聞き流していた。
そんな風習が世界にあるんだと思う程度だった。
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「瀬羅さん。着きましたよ」
「うん、ありがと」
事務所での仕事の後、ロケ撮影のために車で移動してつれて来られたのは郊外にある人通りの少ない公園だった。
「現場はあっちです」
車から降りてマネージャーの足取りについていく。園内には子供たちの遊ぶブランコやすべり台があったけれど、遊んでいる人影は見えなかった。
どんどん奥へと道なりに進んでいった。左右にある木々がさわさわと風に揺られて音を立てる。木漏れ日が眩しく少し目を細めて見上げると、春の訪れを心待ちにしているように木々が蕾を沢山つけていた。
「着きました。ここです」
歩いていった先に現れたのは、俺の恋人だった。
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