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負荷-huka-1
「はぁ…。」
朝早くから遅くまで、スタジオでの撮影が連日続いているこの頃。
モデルとやっている以上毎月周期的にこんな風に仕事は入るけれど、今月は撮影の後に写真集のための打ち合わせ、招待を受けたブランドの新作の展示会へ参加したり、時にはファッションショーの為に地方へ泊まりで行ったり…。
マジで、しゆちゃんに会いたい。
彼は彼で春に向けて、イベントが多くカメラマンとして毎日色々な所へ撮影のために地方を飛び回っていた。
同じ家に住んでいるのにすれ違いでここ一週間は会えていなかった。
「瀬羅くん。お疲れですね。」
コーヒーを差し出しながら声を掛けてくれたマネージャーを見る。
「成田さん、仕事詰め込み過ぎだよぉー!」
座っていた控え室のソファに腕を大きく広げてもたれる。
「すみません。けど、それだけ瀬羅くんを求めてくれてるって事だからね。お願いします。」
「んーぅ……。」
こんなに忙しいのはとても嬉しい事だ。今のこの俺自身を好きだと言ってくれるファンも増え、出る雑誌の売れ行きは好調で最近はずっと避けていたSNSで私服のコーディネート写真を投稿し始めて、それも評判がとても良い。
この状況にとても感謝しないといけないのは分かる。
分かるんだけども…。
「しゆ…。」
愛しい恋人の名前を呟きながら、俺は仮眠をする為に横に寝転がった。
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