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シンパシー-sympathy-8

「でしょ?俺のしゆちゃんだから、取っちゃだめだよ。」 俺の首に腕を回して、頬にちゅっとキスした。 「っちょ…!み、樹矢…!」 思わず下の名前で呼んでしまった事はどうでも良くて、人前でしかもminaさんの前でキスされた事に同様を隠せず慌てて弁解しようとする。 「minaさんっ、こ、これは…ですね…!」 「大丈夫ですよ。本当に本当にお似合いです。これからも陰ながら応援していますね!」 何か全てを理解しているかの様に、冷静に返答された。隣にいる樹矢を見れば、ニッコリとminaさんに笑い掛けている。 「あっ、これデータとカメラお返しします。撮った写真はまたレタッチした後に送りますね。」 掛けていたストラップを外してminaさんへカメラを渡す。 「楽しみにしています。私も編集頑張るので、動画見てくださいね!」 「見る見るー!どんな仕上がりか楽しみ!」 樹矢は期待に満ちた声で返答した。 「じゃ、今日はこれで解散でいいかな?minaさんまた会いましょうね!」 「はい!ありがとうございました!」 しっかりと頭を下げてお礼を言ったminaさんに樹矢は手をブンブンと左右に振って、俺の肩を持てば駐車場へと移動していく。 「ちょっと…樹矢!どういう事だよさっきのは!」 やっと二人きりになれた車内で問い詰める。 「えー?どういう事って…言われても。」 「俺達の関係はバレないようにしないといけねぇだろ?あんな堂々とキスしたら隠すにも隠せねぇじゃんかよ!」 「んー。」 声を少し荒げても、樹矢は呑気に返答する。 「もう、バレてたからいいんじゃない?」 「…え?」 バレてたって、俺達の関係が? 付き合っている恋人同士だって? 何も答えれず頭の中にグルグルと今日の言動が蘇る。 「まぁ、気があったみたいだから俺から彼に釘を差したんだけどね。」 ホント、しゆちゃんは鈍感さんなんだからー。と俺の頭を撫でれば口づけをする。 --- 後々、話を聞いていくと撮影中二人で盛り上がっていた会話はどうやら俺の事についてらしかった。minaさんが樹矢に色々と質問していたらしく、これは危ないと本格的に好意を持つ前にバラしたという。 「だってしゆちゃんの恋人は俺だけだからね?」 --- -- -

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