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Case by c a s e

「視稀、話ってなんだ?」  ある日の皇城。リュウスに呼ばれたリオンはリュウスのいる部屋へと入る。  部屋に入ると執務机に腰掛けリオンに何かを企むような顔をしているリュウスの姿がそこにあった。 「やぁ、リオン兄さん。ご機嫌はいかがかな?」  何食わぬ顔をしながら話し掛けるリュウスにリオンは若干の苛立ちを覚える。 「用事がないなら帰るぞ。まだあちこちの仕事が残っている」  リオンがUターンしようとするとリュウスは笑いながら机から降りてリオンに近づいていく。 「兄さんってそんなに仕事ばかりの人間だったっけ? あー、柊次(しゅうじ)君が来てから真面目にやるようになったんだっけ?」 「彼は関係ない」  リュウスがある名前を言うとリオンは声を荒げながら否定する。 「彼に構うようになってから兄さんは此処にくる頻度減ったよね……」  リュウスはそう良いながら、リオンの背中に抱き着いた。 「兄さんは一応皇帝の相談役なんだから、皇帝の命令に背く悪い子は……お仕置きしないとねぇ」  カチッ 「……っつ!」  リオンは音がしたと思うと猛烈な痛みを感じて、反射で左手を上にあげる。  リオンがリュウスの手元を見るとそこにはライターが握られていた。 「悪い子は地獄の業火で焼かれてしまうらしいよ、兄さん。死んだらの話だけど」 「リュウス、お前っ……」  リオンはリュウスを突き飛ばした後、リュウスに焼かれた左手を見ると、火傷で人差し指の先が水ぶくれになっていた。 「兄さん酷いなぁ……弟を突き飛ばすだなんて……」  リュウスは近くにあった燭台にライターで火を付け、リオンに近づく。 「兄さんは僕がいればいいんだよ。僕以外の人のシルシなんて付けさせない」  リュウスがそう言ってリオンの口をキスする形で塞いだ。 「……っ」  息苦しそうにもがくリオンにさらにリュウスは首筋に燭台を傾け、溶けた蝋を垂らす。 「んんっ……!!!」  熱い蝋を垂らされてるが口を塞がれて声が出ないリオンは唸り声しか出ない。  溶けた蝋はやがて固まりリオンの首筋には白い蝋の塊が現れる。その周りには赤い痣が残る。 「兄さんを手放したりはしないよ。永遠にね」  口を離したリュウスは歪んだ笑みでそういった。

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