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その言葉にかなり動揺し、音が付くほどの勢いで戸園の顔を見ると、眉を下げながら笑っていた。 ──この二人、普通に両想いじゃん。 これはどうすればいいのか悩んでいると、更に戸園が追い討ちをかけてくる。 「正直、下心しかないです。桐野さんが酔う度に手ぇ出したくなるんですけど、必死に我慢してるんです。桐野さんの髪染めるのも、楽しみでしかなくて」 「あ、蒼樹……」 「僕も男なんで。そのくらい余裕で考えますよ」 急に雄らしく変貌した戸園は、先ほどとは別人に見えるほどに男らしかった。少しだけ、橙里の中の戸園のイメージが変わる。 「えー……僕、蒼樹のこと童貞だと思ってた……」 「ひど。それなりに経験はしてますよ。なんちゅうこと思ってたんですか」 「うわー、これウチの子に限ってってやつだ。なんでそんな男! って感じの顔してんの……」 「だから男ですって!」 橙里の言葉に重ねるように戸園がそう言ってくる。少しだけ戸園に対して接しやすくなった気がする。

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