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それは稜もわかったようで、橙里の身体が小刻みに震えているのを見て察したようだ。稜がゆっくりと口角を上げる。 このとき、既に橙里は達してしまったのだがネクタイを外すという行為にまで至らなかった。 「乳首だけでイくなんて、女より感度いいんだな」 「んっ……」 「ほら、ここもこんなに赤くなってる」 そう言いながら稜が突起を指で潰すように押してきた。小さな突起は女のそれよりも赤く色付き、自分の身体が稜によって変えられたんだと突きつけられているようだった。 普段は全く喋らない稜がこういうときになるの喋るというのも、巧妙なテクニックも、すべてが橙里を陥れていく。 陥落──その言葉が一番合っているような気がする。それほどに、稜に嵌っている。あんなに恐ろしかったのに、今ではすっかり酔いしれている自分がいた。 「ふぅっ……んんっぅ……」 身体を弄られる度、橙里の口からは甘ったるすぎる声が漏れていた。口を縛られ、快感に耐える様子は誰がどう見ても官能的なものであった。

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