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そう言いながら稜がなにかの紙を入れた。 「……なにそれ?」 「職場の奴らがお土産に欲しいもの書いたやつ。買ってこねえといけないんだよ」 「へえー。みんなとにかく欲しいんだね」 「そうみたいだな」 キャリーバッグを閉め、ロックをかけたところで大きく息を吐き出す。 稜と二人で地元に帰るなんて初めてだから、少しテンションが上がっている気がする。 近くにあるソファにもたれかかると、隣に稜がやって来た。 そのまま稜の方に顔を傾けると、稜の顔がゆっくり近付いてくる。 目を閉じるとくちびるに柔らかいものが触れ、それは直ぐに離れていった。 目をうっすら開けると稜の顔が視界いっぱいに映り、そのままキスを何回か繰り返す。 「ん……」 舌が入ってくることはなく、くちびるだけが触れる。

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