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「……着いた」 会場に着き、重い足取りで車を降りる。あとに稜が続いて、肩をぽんと叩いてきた。ハンカチも分厚いものを用意したし、大丈夫なはず。 中に入ると結構な人数の人がいて、その中には旧友の姿や懐かしい人間もいた。当然、声をかけるようなことはしない。 すると、稜が突然足を止める。 「稜? どうし……」 稜という名前を口にした途端、口を塞がれた。そして、肩を掴まれて身体を反転させられる。 突然のことに驚いていると、稜が舌打ちをした。 「……あの女がいた」 「あの?」 「おまえと俺に二股かけた奴。相変わらず濃い化粧してやがる」 「……ああ……稜さんが覚えてるなんて珍しいね」

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