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「……遅せぇ」 「ごめん。話してたら時間が」 稜の隣に座り、目を合わさずに会話をする。周りはすっかり暗い雰囲気のため、なるべく小さな声で話す。 「あの女と話すことなんてあったのかよ。虐められてねえだろうな」 「まさか。結構いい人だったよ。悪くもないし。まあ、驚かされたけどね」 「……なにに」 「うーん……言ったらさすがに稜さん怒りそうだからやめとこ」 「はぁ?」 稜が怖い。 ていうより、これ以上喋ったら涙出そうだから頼むから話しかけないでくれ。 そんな橙里の願いが通じたのかそうでないのか、稜が黙ってしばらくして、始まった。 惣作との思い出話、それからお経。それらが滞りなく過ぎていく。 懐かしい思い出が一気に蘇ってきて、涙腺は終始緩みっぱなしだったが涙を零すほどではなかった。 ただ、これからが辛いのだ。

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