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「てかさあ」
「ん?」
「おまえと橙里って喧嘩したことある?」
「ない」
「……マジか」
言い合いならいくらでもしたことはある。でも、喧嘩には至らない。
それが何故なのかは理解出来ないが、少し意見が違ったらどちらかに合わせる癖がついてしまったのだろう。
それ故に、橙里が自分のしたいことを言うことすらびくびくしている。
「喧嘩するほど仲がいいってよく言うだろー? そういう感じではないのな」
「ああ。俺の意見にほとんどあいつが合わせてくっから」
「えー従順じゃーん。そういう相手いるの羨ましいよ。稜もまんざらではないんじゃない?」
「黙秘する」
「まんざらじゃないんだーやっぱなー」
間延びした口調でそう言う。女子高生のような言い方に、思わず笑みが零れてしまった。
パスタを口に含むと、やや塩気が強い味が口中に広がる。不味くはないがワインには合わなさそうな味だ。
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