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第183話※

「っ、ぅあ……っ」  アゼルが唇を離すと、内ももにくっきりと牙の刺さった痕が付いているのがわかった。  そこから同じだけ注がれた毒は、当然俺の体をさらに蝕む。いくら触られ発散させられても熱は冷めず、高められる体温。俺はそうやって愛されている。 「……俺だって、……あ、愛してる。めちゃくちゃ、好きだ。好きだ、シャル」 「ひっ……く…っ……っ」  小声で、されど断言する告白とともに、ようやく待ち望んだモノがゆっくりと入り口を限界まで拡げ、内壁をかき分けながら押し入ってきた。  期待に全身が震える。  ズズ、と慎重に埋められると、散々嬲られ慣らされた肉襞は柔軟に拡がって熱い杭を受け入れようとしていく。  半ばまで呑み込んだ頃。キツそうに眉根を寄せて腰を進めるアゼルが「愛してる」と囁き、一息に奥まで突き込んだ。 「ふぅ……っ、っゔ……!」  ズンッ、と根本まで嵌まり込んだ長大な怒張に内壁全体を圧迫され、一瞬呼吸が詰まる。  目の奥に星が散り中を強く締めつけたかと思うと、手の中の張り詰めた屹立からドプッ、と白濁液が迸り、自分の腹を汚した。  なんとなくへら、と頬が緩む。  アゼルでいっぱいの自分の腹すら愛しい気がして、吐き出した白濁ごとなでる。 「は、ぁ……ふふ、変だ……嬉しくてイッた……俺も、愛してる……アゼル、が、一番……気持ちいい……」 「っ……お前ってやつは」 「アゼルはかわいいな……好きだ、全部、俺のものなんだ、ぞ」 「お前ってやつはなぁ……!」  快楽と催淫毒でボヤけた俺を前に、アゼルは俺の両足を抱えて身体を折りたたむように押しつけ、激しく律動を始めた。  汗ばんだ肌同士がぶつかり合う破裂音。  結合部から漏れ出す淫靡な水音。  ゴリュッと鈍く重い一突き一突きが奥の角や手前の前立腺をランダムに犯し、何度も視界が白く感光した。 「俺だって、いや俺のほうが愛してる、もっとわかれっ、もっと俺を感じてろ……っ」 「あっ……! ぁあ……っ!」  余裕なく肌を重ねながら、せっかく薄く塞がっていた首筋の噛み跡にガブッと牙を突き立てられ、俺は目を見開いて何度も痙攣する。  生きるための血液が奪われていくのに気持ちいい。  痛みは快感に変わり、弾けそうに勃起したモノを擦る手の動きが速まる。だめだ。これ、意識がなくなる──頭、壊れる……っ! 「ぁあ、っアゼ、ルっ……」 「はっ……シャル」  ──現実と白がフラッシュしてふらついていく意識と視界の中で、傷口を舐めたアゼルが顔を上げた。  アゼルは月夜のような男だ。  暗闇の中で一際輝き、地上を見下ろしながら、誰よりも明るく存在する。傲慢で高飛車に見えるが、真っ暗な空に浮かぶ月。  なのに今、彼は太陽のように笑っている。  とても嬉しそうに無邪気な笑顔を浮かべて、好きだ、愛してる、と何度も何度も俺に告げる。  俺の意識はコマ送りとなりまともな言葉を返す余裕はなかったけれど、どのシーンでも幸せそうなアゼルが映っていて、俺は快感と共にとめどなく愛情に満ちていく。  俺はもともと恋愛にも性感にもあまり興味がなかったんだ。  心と体どちらもが求める唯一無二の愛だなんて、素敵だと思うが……俺には無理なんじゃないかと、思っていた。  しかし俺はアゼルを愛している。  とても幸せだ。ずっとずっとこうして抱き合って、笑っていたい。 「愛してる、シャル」 「俺も、愛して、る」 「なぁ……ずっと一緒にいてぇよ」  俺がトンでいるのをいいことに素面じゃ言わないストレートな言葉を吐き続けるアゼルの愛を全身で感じながら、俺の意識は、まるごと掻き消えていった。

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