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「で、例のセールスマンはちゃんと追い払えてるのか?」 久しぶりに帰ってきた夫から着替えを受け取りながら隼人は首を傾げた。 「セールスマン?」 「は?困ってたろ、追い払えないって」 充は呆れた顔をして溜息をつくとシャツを脱いだ。 放られたシャツを受け取ると、僅かだが嗅いだ事のない香水の匂いが鼻を掠める。 以前の隼人ならこんな事でももやもやと悩んでいただろうが、今となってはどうでもいい事だ。 「あぁ…」 隼人は無造作に洗濯物をまとめると、充に向かってにこりと笑って見せた。 「大丈夫、上手くやれてるよ」 「そっか」 充は興味なさげに呟くと、スマホをいじり始めた。 洗面所に洗濯物を持ってきた隼人は、洗面台の下にある扉をそっと開く。 そこにはこれまで村瀬から購入した淫具の数々が詰め込んであった。 あの日、村瀬というセールスマンのを受けてから、隼人は彼の持ってくる淫具の虜になっている。 村瀬の持ってくる淫具はどれも絶品で、隼人は彼のサービスを受けるたびに淫蕩な肉体へと変貌していってる。 彼は親切だ。 可愛いといってくれるし優秀だとも言ってくれる。 隼人はだと言って、新しい淫具が入れば必ずさせてくれるのだ。 明日はまた新しい玩具を紹介してくれる手筈になっている。 今度はどんなタイプの淫具だろうか。 この前の尿道責めのあれはキツかったけれど、初めて出さずにイけたからとご褒美を貰えた。 村瀬が来る前、待ちきれずに後ろが疼くのはいつもの事だ。 大きめのバイブを取り出すと、隼人は恍惚とした表情で唇を舐めた。 「村瀬さん、…早く来て」 今ではが訪ねてくることが唯一の楽しみになっている。 end.

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