音の外れた鼻歌が聞こえ、彼が帰って来たのだと知って期待に身を戦慄かせていると、ドアが開いた。
「お待たせ」
低い囁くような声。部屋は薄暗く、ドアの向こうの灯りを背にした男の表情はうかがえないが、機嫌が良いと分かる。
「……ぉか……ぇっ」
けれどまともに応えすら出来ない。彼に命じられた通りにしているからだ。
「あ~あホント淫乱、ビンビンにしちゃって。バイブ美味しい?」
今日で四十歳になった恵人は、パーティーへの同席は不要だからココで待つよう、彼に命じられた。首輪を装着しバイブを挿入して横たわらずに。
だが|内奥《なか》で蠢くバイブに犯され続け、淫らな身体は既に何度か達している。不惑を迎えたのに汗みずくの全裸でバイブを銜え込み、悦に酔う自分は本当に淫らだ。
限界はとうに超えて、立ち続けるのは無理だったが、すぐそこにあるベッドへ横たわるなど許されていない。だから膝立ちになってしまいつつも、なにかに縋ることすらせずに耐えている。
「偉い偉い。ご褒美欲しい?」
必死に頷きを返すと、白髪の目立つようになった髪を掴んだ彼が顔を覗き込み、嬉しそうに笑む。
「OK。じっくり虐めてあげる。ハッピーバースデイ恵人」
※ムーンライトノベルズで書いた『A fatal malady~不治の病~ 』主人公の恵人さん(ドM)が誕生日だったので、お祝いSSとイラスト書いてみたという。
そのうち改稿を加えてこちらにもUPしたいなあと思いつつ、今書いてる奴先にやれよ!という話なので、先の話ですが……^^