「Butterfly in the Champagne」ができるまでの話
おかげさまで「Butterfly in the Champagne」が(昨日)完結しました。
https://fujossy.jp/books/13681
完結してから読む派の方も宜しくお願いします。
公開直前まで新作を書くか、既存作品を手直しするかで迷っていました。
実は新作も書き始めていました。しかも2作。
ひとつはクイズ正解者お礼SSを組み合わせた「春宵一刻値千金」のスピンオフ、博多支社編。これはコンテストテーマの発表前に書き始めており、既に10,000字近くまで進んでいました。しかしこれ、途中で回想になり、学生時代の話が始まるんですね。オフィスラブから離れ過ぎかな、と思ってコンテストに出すのは断念しました。これはこれで完成させてそのうち公開します。
もうひとつは全くの新作です。
変人の上司に好かれる真面目な会社員の話。見切り発車過ぎて落としどころが見えないまま3,000字ほど書き、やっぱり着地点が見えてこないのでやめました。こういう場合は「ネタ」として保存していて、たまに引っ張り出して別の話に取り入れたりします。
この時点で締切1週間前になったため、新作を書きおろすのはやめて、既存作のリメイクに方向転換しました。今回自分の過去作を見返すと、結構多かったんですねえ、オフィスラブ。つか、登場人物が学生じゃなければ仕事をしているし、その人が誰かと恋に落ちるなら仕事の現場というのがもっとも自然な成り行きってところもあって。
たとえば先日ご紹介した「喫煙室」はもろに同じ職場の同期入社の二人が、会社の喫煙室で繰り広げる短編です。それから「キマイラの告解」も研究者とその研究に認可等を出す行政機関の人間として出会った二人が主軸となる話です。「丘の上洋菓子店」は二人で長年の夢だった洋菓子店を出し、切り盛りするカップルの関係が変わっていく話です。「春宵一刻値千金」はど真ん中にオフィスラブです。「名残の夏の」は、こどもの頃ひと夏だけ過ごした二人が仕事現場で再会するところから始まる話です。
そして、「Butterfly in the Champagne」がありました。
この中で「オフィスラブ」のイメージに近くて、「リメイクのし甲斐」がありそうな話と言うと、下記の三作品に絞られました。
「名残の夏の」
「春宵一刻値千金」
「Butterfly in the Champagne」
「春宵」については、上述の通り博多編を書き始めていましたから、気持ちがそちらに行ってしまっていて、今更こちらを手直しするという気にあまりなれませんでした。あと、あくまでも「お礼SS」の派生作品であり、アイディアの出所がクイズ正解者様である以上、オリジナル作品として発表するのはどうなのかなぁ、という気持ちもありました。(それを言ったら「bone」はオフ会の雑談をきっかけに作った作品ですけれど、そこは「縄文時代」というキーワードだけだったのでアリだと思ってる次第です)
残る「名残の夏の」と「Butterfly~」で迷いましたが、前者は「職場」で出会うものの、そこはストーリーとは深く関わってこない要素です。一方、後者は後者でコンテストの要項の上限30,000字を考えると文字数が物足りない。と思ったら、「Butterfly~」には既に後日談が存在していた。やだラッキー。ということで、それと組み合わせることで解消しそうだと思いました。
こんな経緯で「Butterfly in the Champagne」を書き直し始めたのですが、ありものの本編と後日譚を組み合わせればいいだけじゃーんと思いきやそうでもなくて、その二作間には温度差があり、ゆえにつなぎめ部分に相当の違和感がある。藤原と直江のキャラクターも変わっちゃってる気がする。本編と後日譚のブリッジがないとどうにも説得力がない気がして、結局既存の文章の半分は書き直したし、追加した場面もいくつか。それでもイチから書くよりは当然早かったんですが、もっと楽だと思ってたらそうでもなかったという(笑)
いつもなら最後まで書き上げてから公開していた(そうしないと1話当たりの文字数の適正量が見えないと言うのもある)のですが、今回は完結前に「そろそろ公開しないと締め切りまでに完結しない」という時期に入ってしまい、第一話は見切り発車で公開しました。結局最終話も公開数分前まで推敲していたというドタバタぶりでしたが、なんとか完成まで漕ぎつくことができました。
ちなみに「その恋」は書いたらすぐ公開です。プロット?推敲?何それ美味しいの?な感じで書いてます。ライブライティング状態です。次話で彼らが何言いだすかも知らない。イタコ状態で書きます。
対極は「キマイラの告解」の作り方で、あれは私史上初のプロット作りから始めて、みちみちねちねち考えて書きました。
大抵の作品はその中間地点で書きます。プロットは書き出さないけど構造は頭の中では整理された上で書く、という感じで。
ここまで書いておいて何を、と言われそうですが、私は自作語りが好きではなくて、格好よく言うと「言いたいことはすべて作品に書いた」であり、私の脳内からアウトプットされ人目にさらされた時点でそれは読者様のものだという意識が強いです。成人して独立して家庭も持った息子について「うちの息子はこんな子でね、こんなことが得意で、どうしてかというとあの子がこどもの頃に私がね」とペラペラとしゃべる母親ってのはちょっとアレでしょ?というのと似ています。生んだの私だけども「私のもの」とちゃうやんかっていうね。
そんなわけで、作品の内容についての裏話はしませんが、その周辺の状況について書いてみました。
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☆子育て・子持ちコンテスト優秀賞「BABY,DON'T CRY.」
https://fujossy.jp/books/6493
☆時代物コンテスト最優秀新人賞「bone」
https://fujossy.jp/books/5402
☆学園物コンテスト優秀賞「Blue Lotus」
https://fujossy.jp/books/4506
☆「Blue Lotus」スピンオフ「Scarlet Lotus」
https://fujossy.jp/books/6729/
☆画像版SS置き場 (pixivです)
https://www.pixiv.net/member_illust.php?id=31334215
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