お姫様抱っこ
コスプレコン作品「恋するハソラン」第6話公開しました。
https://fujossy.jp/books/13915
今回ネタバレなので、これ以降は第6話を読んだ後にお読みくださいませ。
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高校の時、クラスごとの出し物として、3年生は「演劇」をするのが習わしだった。
私は脚本担当で、某オペラの名作をベースに、高3生が演じられるように変更を加えた脚本を作った。それは余談。
別のクラスでは「覇王別姫」を上演した。漢文の授業で習ったばかりだったから選ばれた演目だろう。前漢の高祖に敗れた項羽が、愛姫・虞美人と最後の別れを惜しみ自殺した史実に基づく物語である。
主役の項羽を演じたのは今で言うと高橋一生あたりの「ザ・イケメンではないが妙に色気のある」タイプの男子だった。ちなみに私は当時、彼と彼の友達をモデルとしたBL小説を大学ノートに書いていて、世界に2名しかいない読者(腐女子仲間・これも同級生)に読ませていた。いわゆる「ナマモノ」である。最近になって同級生との飲み会に彼が参加することがあったりもして、そのたびに心苦しく思うが、言うほうも言われるほうも不幸にしかならないだろうから墓場まで持っていく秘密だ。
で、虞美人を演じたのがこれまた学年でも1、2を争う美女だった。
このクラスの演目は非常に評判がよく、文化祭2日目は1日目の評判を聞いた人たちも詰め掛けて教室に入り切れず、1日2回公演を急遽3回だか4回公演に切り替えねばならなくなった。そして最終公演が終わった直後、虞美人が倒れてしまった。その彼女をお姫様抱っこして保健室まで廊下を駆け抜けていった項羽の姿が数十年経った今も忘れられない。周りのモブはストップモーションとなり、彼らだけが輝いて見えたものだ。
あの感動をいつかお話にしたいもんだと思い、書いたのが今話。
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