用語解説 カフリンクス

カフリンクス(cuff links)は、シャツの袖口を留める装身具です。
カフスボタンとも呼びますが、これは和製英語で俗称。
cuff(袖口)をlink(繋ぐ)するのでカフリンクス。左右対称のもの二つで一組なので複数形のsがついています。
現代の日本でカフリンクスを使う人は少数派ですね。
ほとんどのワイシャツやドレスシャツは袖口にボタンがついていて、簡単に留められますし。
カフリンクスにはチェーン式やエクステンション式など様々なタイプがあり、着け方がそれぞれ異なります。
勉強不足なのでここは割愛いたします(興味をお持ちの方は調べてみてくださいね)。


カフリンクスが定着したのは恐らく19世紀中頃ではないかと思います。
ロココ期の華美なものからダンディズムを追求するスタイルへ移行し始めたのがだいたいその頃なので、同時期じゃないかと。
19世紀のメンズファッションは、ウェストコートの項で述べた通り、地味で禁欲的です。
色は黒かグレイで、ジャケットもパンツも靴もほぼ同じ形ばかりでした。
そういった制約のある中で紳士たちはおしゃれを楽しみました。
カフリンクスやステッキ、ネクタイ、アルバートチェーン(後日公開する第五十夜にて記述します)などの小物で個性を主張したのです。


素材はさまざま。金、銀、プラチナなどの貴金属や、高価なものはダイヤなどの宝石を使ったものもあります。
夜の正装(テイルコートなど)には白蝶貝のカフリンクスを合わせたようです。
ネットの検索で白蝶貝は昼の正装に、とあったりしますが、これは現代のマナーではないでしょうか。
ヴィクトリア期の英国ではテイルコートのインに着るウェストコートもボウタイも手袋も白で揃えるのがマナーでした。
わたしの読んだ文献(どこで何を読んだのか忘れました)が間違っていなければ、白は夜の礼装・正装に合わせる色です。
黒いタイやカフリンクスは現代では弔辞に用いますが、19世紀はどうやら日中の正装(フロックコートなど)に合わせたようです。
拙作ではジュリアンが常に黒タイ(ストリングタイ=リボンタイの細めのタイプ)なので、マナー違反かとひやひやしていましたが、間違ってはいないみたいでホッとしました(笑)。
カフリンクスはオニキスや黒水晶あたりかしらね。
アルフレッドは貴金属のシンプルなタイプかな……なんて妄想もちょっと楽しい。


カフリンクスの描写は第十夜でたったひと言あるだけなので、もう少し増やしたいところです。
大好きなのですよ、カフリンクス。


以上につきまして、勉強不足で知識も浅いのでご容赦いただければ幸いです。