用語解説 アルバート
アルバート(Albert)は懐中時計用の鎖です。
この型が登場するまで、時計は長い鎖で首から提げていました(時計本体はウェストコートのポケットにしまいます)。
ヴィクトリア女王の夫君であったアルバート公は1861年に死去。
生前に公が好んで使っていた懐中時計の鎖は、アルバートあるいはアルバート・チェーンと呼ばれ、国民に広まりました。
民に愛されたアルバート殿下の名を冠したものが今でもいくつか残っています。
プリンス・アルバート・コート。
フロック・コートの別名です。主にアメリカでこう呼ばれているようです。
ロイヤル・アルバート。
英国王室御用達の陶磁器ブランドです。
ヴィクトリアが愛する夫のために創らせた窯元とか、創業者がロイヤル・カップルの大ファンだったとか諸説あるみたいですけどどっちが本当?
アルバート髭。
19世紀当時の写真(すでに写真技術が発明されています)や肖像画、ファッション画など見ると男性はみな口髭を蓄えています。
アルバート公を真似たんですね。大流行したそうです。
今でも英国人は王室の話題が大好き。
常にパパラッチの標的にもなっています。
話が逸れました。
アルバート・チェーンの使い方は、作中で述べた通りです。
T字のバーをウェストコートのボタンホールに通して留めます。
もう一方の金具に時計を繋ぎ、ウェストコートのポケットにしまう。
鎖がダブルのタイプもあり、二本のうち一本に時計を、もう一本に好きな飾りを提げたとか。
紳士用と婦人用があり、女性が使うものはデザインが繊細で美しいものが多いです。
もしかしたら軽めに作られているのかも。
現在もアンティーク品が出回っていますので、奮発してみようかと思ったことがあります。
お値段が張るので諦めましたが。
写真は執筆の参考にしたアンティークのアルバート。
アルフレッドが贈られた品はシングルということになっていますがこれはダブル。
鎖の両端にそれぞれ金具がついておりますでしょ?
ここに時計と好きな飾りを提げます。
T字のバーをウェストコートのボタン穴に通して留めれば装着完了です。
アルバート公。
フロック・コートの美しい着こなしに目が釘づけです。
時計の鎖も見えていますね(*´∀`*)
ヴィクトリアはアルバートに一目惚れだったそうで、「彼の美貌は眩いばかりです。態度に飾り気がなく、ひと言で言えばたいへん魅力的です」と書き綴ったとか(手紙かしら?)。