おはようございます。
作品をお読み頂き、栞、お気に入り、リアクションなどありがとうございます(*´ω`*)
こちらで長編を公開してから約4か月、だらだら続くお話しにお付き合いくださる優しい読者さまにも感謝です☺更新をマメに出来ず、ごめんなさい💦
さて、本題ですが。下のSSは日ごろの感謝をこめて、やっとこさ書き下ろしました。一部ネタバレ要素ありです。
*同棲(新婚)生活
朝目覚めると、焼きたてのパンの香ばしい香りが寝室まで漂う。澁澤さんは……?
体を起こそうともぞもぞ動いてみたけれど。……大体がこのパターンだ、体の節々が痛む。昨夜の夜を思いだした。
コンコン。
ノック音が二回。
「おはよう、喬木さん。朝食が出来たよ」
「……おはようございます」
体には胸やお腹、太ももに幾つかの紅い痕跡が残る。寝室に足を踏み入れた澁澤さんがカーテンを開けると明るい太陽の光が部屋を照らした。眩しい……。目を細めた俺に、朝の挨拶代わりのキスを。
「先にシャワーを浴びる?朝食後は、荷物の片づけだな」
「そうですね、先にシャワーを浴びようかな。俺……まだ夢を見ているようです」
休日に、お互いの仕事場に近く、アクセスに便利なマンションを探し出し、引っ越しの日取りは⚪月の3連休を利用をした。リビングや寝室はまだ蓋を開けてない段ボールの山だ。
選んだ間取りは3LDK。システムキッチンなどの設備が充実しているのと、2部屋はプライベートルーム、もう1部屋を物置や客間にできるのが決めてとなった。
いつもと同じようでいて違う朝。
澁澤さんと毎日、迎えるんだ。そして、俺の左手の薬指には。
「夢じゃないよ。ある程度、荷物の片づけが済んだら買い物に行こうか。部屋のレイアウトを考えないとな。新婚らしく、暖かみと甘めの雰囲気にしよう」
休日だけ嵌めようと、俺と澁澤さんの薬指には永遠の愛を誓ったマリッジリングがキラリと光る。指輪の裏面には互いのイニシャルと短いメッセージ入り。プロポーズは……。とても素敵な、ロマンチックな、愛が溢れる演出だった。思いだしてはふにゃりと頬が緩む。
「喬木さん……。夢見心地なのもいいが、現実を見ろよ」
「そ、そうですね」
なかなかベッドから起き上がれない俺に痺れを切らしたらしく、腕を取る。立ち上がった裸の俺を抱きしめた。
「これからは毎日一緒だな。宜しく」
「宜しくお願いします。……一颯さん」
澁澤さんは一瞬、目を見開いて言葉を無くした。
「あー、うん。ま、いいや。先に朝食にしよう」
照れ隠しのつもりなのか、俺の額に軽いキスを落とす。澁澤さんは俺の7月の誕生日の前に、きちん約束を果たしてくれたんだ。両親と実兄家族への挨拶、小橋と莉子さんには「付き合ってるよ、近々、一緒に住むんだ。事実上、莉子ちゃん夫婦と同じ立場だ」と打ち明けた。
だから、俺も。
龍輝さんと雪士さん、お母さんとの距離を少しでも縮めたくて、呼ばれもしないのに組へ出向いたり。強面な人たちの優しい?意外な1面を知った。
「……いただきます」
「どうぞ。材料は、あり合わせの簡単なものだけど」
淹れ立ての珈琲、焼きたての柔らかいパンにバターを塗った。レタスとミニトマト、コーンの野菜サラダとハムエッグを乗せたプレートを並べたテーブルの上がとても贅沢に、華やかに映る。ああ、そうか。澁澤さんがいるからだ。俺の……大切な、旦……。
「この食パン、カリッとしてますね。珈琲は……」以前、頂いた味と同じかな。
「コスタリカ産の珈琲豆だ。甘みがあって、喬木さん好みだろ」
「ええ、とても美味しいです」
ふわりと微笑むと澁澤さんも目元を緩め、穏やかな表情を浮かべる。引っ越し前は荷物を纏めるのに、結構忙しかったのに。それが一瞬にして吹き飛んだ。
甘い、2人っきりの朝食タイムは優しく、ゆっくり流れてゆく。珈琲カップをソーサーの上に置くと澁澤さんはしげしげと俺を見つめた。
「…………」
え……。今度は俺が大きく目を見開く番だ。
微かに整った唇の口角を上げた澁澤さんはハムエッグにフォークを延ばす。俺も早く食べ終わろう。
「し……一颯さん」
「はい」
もう一度、言ってくれるかな。願いを込めて言葉を────。
end。
すみません、尻切れトンボで。ネタバレ要素を隠して書いてみました。少しでも、連休中や、お仕事中の読者さまのお暇潰しになれば幸いです。お付き合いありがとうございました、本編もどうぞ宜しくお願いします(o^-^)水瀬。