【えちぅど】B-RISC

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 ロッカーが背後で鳴った。非常に困っている。断崖絶壁に立たされているような心地だ。それでいて、踏み外して堕ちた先にあるのは終わりではなく、始まりだ。おそらく、始末書だとか、そういう面倒事の。

 

 西日が眩しかった。目を緋色に灼かれて、すべてがおかしくなった。使い古されたスチール製ロッカーに鼓動が伝わりはしないかと不要な心配をする。なにせすぐに軋むのだから。


 うりざね顔、上下の均整がとれながら少しだけ下部に厚みのある唇、緊張感のある眉はもとから少しだけ困ったように寄っていて、額が広い。垂れ目なのだろうけれども睨むような眼差しは日頃の癖らしくミステリアスな雰囲気を醸し出す。いつも独り。喋らない。走らない。大人に対して怯えがない。

 

 昨日まではそこに黒く艶やかで毎分毎秒櫛が通されているのかと思うほど整えられた前髪があった。そこから覗く形の良過ぎる額が男前で、全体的にいくらか中性的な色も差していた。しかし今日は清潔感のある短髪になっている。


 それが、先生を壁に追い込む生徒だ。

 

「先生……言われたとおり、刈ってきました」


 スチールロッカーを打ったのとは逆の手が彼自身の頸を撫でる。昨日髪型を注意した。余程、根に持っている。あの単純でいて垢抜けた髪型を注意したことを。


「ねぇ………似合う?」


 似合い過ぎている。整い過ぎている面構えが精悍さを帯び、中性的な色気が闘争することで妖しさが引き立ってしまった。至近距離では目のやり場に困るほど、似合っている。やがて視界に収まらず彼の眉間からすとんと落ちた鼻先に焦点を合わせることもできなくなる。


「先生の、タイプ………?」


 耳に吐息が掛かる。声は要らない距離だった。


「校則としては、たいへん望ましい」


 手汗がひどい。最近の子供はおそろしい。全身が粟立つ。
 そのまま、耳を食われる。化粧品メーカーのモデルみたいな唇に。熱くなる。


「先生。おれに、生活指導シテクダサイ」


 親指も熱い。耳も熱い。顔も、胸も、唇も。

 

「校則違反は今のところ他に見当た-…」


 先生の通信簿が、あの綺麗な指で少しずつじっくり、開かれてしまう。

 

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800字余り

BoyがBo-zuにしてBeautifulになりBeastになるリスク。※Bo-zuというか短髪

妖艶美青年風美少年×虚勢へたれ教師想定。誘い受×流され攻もワンチャンあり?