恋文
掌編集『Mishmash』に、「恋文」を投稿しました。
きのう更新した「手紙」と対になる一編です。
懸想文の全文と送り主の名が明らかになっているというだけなんですけどね。
エルバート・フィツウィリアムなんてご大層なお名前の殿方ですが、ジュリアンも「まったく覚えがない」そうです。
ふむふむ、夜会で見かけて一目惚れしちゃったって?
一大決心で手紙を出したんでしょうけど、最後まで読まれないどころか暖炉の燃料だよたぶん。
ご丁寧に真紅の薔薇まで添えたのにねえ……。
参考にしたハイネの詩はこんなのです。
薔薇、百合、鳩、太陽
どれも僕はかつて愛の歓びをもって深く愛していた
僕はもうどれも愛していない、僕が愛しているのはただ一つ
ちいさくて、可愛くて、綺麗で、唯一の女性
彼女こそがあらゆる愛の歓びを与えてくれるもの
薔薇、百合、鳩、太陽なんだ
薔薇、百合と来てどうして鳩と太陽なのかがあまりピンと来ないわ。
ハイネと言えば愛の詩人ですね。
わたくしはほとんど存じませんが。
薔薇の主な花言葉は以下。
薔薇は本数でも意味が違ってきますので、贈る際はお気をつけて。
薔薇全般:愛、幸福
真紅:死ぬほど恋焦がれています
白:純潔
紫:気品、尊敬
作中では
真紅→アルフレッド、白→アスラン・ディーン・グレイ、紫→フレデリックがそれぞれジュリアンに贈る。