伊藤、朝からうるさい。
※これは本編には出てこない、伊藤×山本の昔話ーー
朝のいちゃいちゃ番外です。
陽が昇りかけた頃、
伊藤は先に目を覚ました。枕元で寝息を立てる山本を見つめ、ふっと笑う。
無防備な寝顔。
緩く落ちた前髪。
そして、首元までずり落ちたTシャツの襟。
「……可愛いな」
ぽそっと、伊藤が漏らす。
「……寝顔まで完璧って、ズルいよ。お前……」
するとーー
「……聞こえてる」
「うわ、起きてたの?」
「さっきからずっと。……なんだよ、“可愛い”って」
山本は寝返りを打ち、少しだけ顔をしかめた。
けれど、その耳がほんのり赤いのを、伊藤は見逃さなかった。
「いやいや、普通に言葉が漏れただけ。反射で。
寝癖も可愛いし、Tシャツずれてるのも可愛いし、文句言う顔まで可愛いってーーマジでやばい」
「……バカ」
「え、なに?怒ってるの?じゃあ今度は“エロい”に変えようか?」
「真吾、黙れ。あと10秒以内に黙らないと殴る」
「じゃあその10秒間に、あと3回くらい“可愛い”って言っていい?」
「……!」
山本は思わず掛け布団を引き上げ、頭を隠す。
「お前、ほんとバカ……っ!」
その声も、くぐもってて、拗ねた子どもみたいだった。
伊藤は笑いながら、山本の背中越しにそっと囁く。
「そうやって、“可愛い”って言われて照れてるくせに、怒ってごまかすとこーー
いちばん可愛いんだよな」
「真吾!!」
「ーーはい、黙ります」
(でも、こうやって怒鳴るとこも……やっぱ、可愛い)
そう思いながら、伊藤はくすっと笑って、そっと山本の髪を撫でた。
山本は顔を出さない。
けれど、耳まで真っ赤になっているのが、掛け布団越しでもよく分かった。
昨日の夜は急に見たくてw書いてみたw
ては本編で会いましょう!
