【本日より配信❗️】剛毅な人の王は見初めた片翼の鳥を手放さない 

こんにちは。

 

エクレアノベルス様より書き下ろし新作

『剛毅な人の王は見初めた片翼の鳥を手放さない』

 

こちらがピッコマ様より限定先行配信されました!

無料話や待てば0円対象ですので、どうぞお気軽にお読みいただけましたら、嬉しいです✨️

 

運命を愛し抜く剛毅な人の王×使命と片翼を失い、薫種へと変異してしまった有翼人のお話です!

 

【ついのべ】


 黒翼を持つ飛蘭は、有翼人の中でも稀な存在だった。黒翼には特別な力が宿るという言い伝えがあったが、飛蘭にとってそれは誇りではなく劣等感の種だ。

 

 幼少期から他の仲間より飛行能力が劣る。常に遅れを取っていたが必死の努力を重ねて、ついに「渡り」として認められ、初めて季節を巡り、季節神を起こす役目を果たす機会を得た。


 しかし帰郷の途中、『翼狩り』と呼ばれる黒装束の一団に襲撃される。仲間達が鳥網によって捕らえられる中、「逃げろ」と叫ばれた飛蘭は、仲間を見捨てられず駆け寄った。 『翼狩り』はそれを見逃さなかった。


 飛蘭は片翼を切り落とされるという重大な傷を負う。 「さてあともうひとつ……と言いたいところですが、さすがに分が悪い。また取りに来ますよ、忘れ物を」 そう言って飛蘭の翼を落とした男が去る。


 極度の苦痛と失血により倒れ込む飛蘭を救ったのは、南海国の王・豹雅だった。 王は即座に処置を施し、「絶対に治す」と誓って彼を抱き上げた。 飛蘭はその言葉と、王の放つ春花のような香りを最後に意識を失う。


 目覚めた飛蘭が直面したのは、片翼を失ったという動かしようのない現実だった。 翼を失った痛み以上に「もう渡りの役目が出来ない」という事実は彼を深く傷つけた。 しかし豹雅は飛蘭の元頻繁に訪れ、励ましの言葉や世話を惜しまなかった。


 だが新たな問題が飛蘭を襲う。 飛蘭の身体に発情の兆候が現れたのだ。 発情とは薫種が迎えるものであり、平種である飛蘭には本来起こらないはずの現象だった。 飛蘭を治療した医生は、翼切による極度の衝撃と負荷が、潜在的な変化を引き起こした可能性を指摘した。


 しかも片翼を失ったせいか、その発情は不完全なものだった。 次の発情があるとは限らない。 だが薫種は国の保護に入る責務がある。 人の貴種を生むことが出来るのは、有翼人の薫種だけだからだ。


 平種であれば飛ぶことが出来なくても、次代の『渡り』を育成する手伝いが出来たというのに。 もう里に戻ることも出来ない。 飛蘭はもう春の歌を歌った。 だが応えるはずの木々や花、鳥達は応えてくれなかった。 それでもいつか応えてくれるのではと、涙混じりの歌声で歌い続ける。


 そんな飛蘭の背中を優しく抱いたのは、豹雅の逞しい腕だった。

 

 どうぞよろしくお願いいたします🙏✨️