【ご報告】小説大賞の二次選考通過と、書き下ろしSS『あたたたいの伝え方』をお届けします🌷
去年の9月ぶりのブログ更新みたいです😶🌫️
お久しぶりです、ノガケ雛です!
今回、第五回fujossy小説大賞に
『あなたの番になれたなら』
『忌まれた子は、獣の愛に包まれる』
の二作品を応募いたしました!
有難いことに両作品とも一次選考を通過、そして『忌まれた子は、獣の愛に包まれる』が二次選考を通過しておりました👏✨
応援してくださった皆様、本当にありがとうございます!🙇♀️
言葉も知らなかった人間・エルが、獣人・アザールに愛され、成長していく心温まる物語になっているかと思います💕
正直なところ、結果を待つ間は不安でしたが、こうして選考に残れたことは大きな励みになります。
来月末の結果発表まで、ドキドキしながら待ちたいと思います!
そして、二次選考に残していただけました御礼に、ここでSSをお届けします🌷
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エルは好奇心旺盛だ。そのうえ、純粋で美しい心を持っていて、如何に人間と獣人との仲が悪かろうと、そんなもの関係なく皆の心を穏やかにさせる。
「ぁ、あざーる!」
「ああ、どうした」
屋敷にやってきてしばらく。
まだたどたどしくしか話せないエルは、一生懸命習った言葉を思い出して口にする。
窓の外を眺めていたエルは、キラキラした目でアザールを振り返ったあと、『あら?』と表情を曇らせて小首を傾げた。
「ぁ……ちょ……ちょう……? ん……たり……?」
「うん?」
「……たぁり?」
「たり?」
アザールにはエルが何を伝えたいのかがわからない。エルにとって慣れない言葉はまだ、舌の上で転がる不確かなものでしかない。
『たり』とは何だ。同じくアザールも首を傾げると、エルは少し顔を顰め、そして立ち上がった。
「たり!」
「……」
両腕を広げ、上下にパタパタと動かしている。
一瞬キョトンとしたアザールだったが、エルが何を言いたがっているのかが分かり、何とか伝えようとする必死と、あまりの可愛さに吹き出すように笑った。
「『たり』じゃない。『とり』だ」
「む……とり?」
「ああ。とり」
「とり!」
ニコニコ、笑顔になったエルは今度は文字が書いてある表を取り出すと、その中から『と』と『り』を探している。
「んー……アザール! 『と』?」
「そうだ。それが『と』で合ってる」
「フフン!……これ、『り』?」
「正解。エルは賢いな」
「せいかーい!」
エルは楽しくなって、そのまま色々な言葉を口にしては指先で文字を追っていく。
「あざーる」
「うん?」
「ん? うん、ちがう。あざーる」
「……? ああ、なるほど」
名前を呼ばれたと思いアザールが視線を向けるが、エルは一心不乱に文字を追っているところで、どうやら名前を呼ばれているわけではなかった。
少し恥ずかしくなったけれど、エルの一生懸命な姿が愛らしく、あまり気にならなかった。
「エル、食事にしようか」
昼に差し掛かり、見ていた絵本から顔を上げたエルはキョトンとして首を傾げる。
「ごはん。エルの好きなパンがある」
「パン!」
「食べに行こう」
「うん!」
差し出された大きな手。エルはそっとその手に自らに手を伸ばす。
重なると優しく包まれ、温かな体温にホッと力が抜けた。
「アザール、ん……あた、たたい?」
「ん?」
「あたたたい!」
「はは、『あたたかい』だな」
「……? うん!」
よくわかっていないまま、しかし潔く元気に頷いたエル。
アザールはそんな様子の彼に再び笑うと、ヒョイっとその体を抱き上げた。
突然抱っこされたエルは驚いて目を見開くけれど、手だけでなく触れ合う部分が温かくてすぐに安心する。
「アザール、あたたたい、すき」
「ふっ……ああ。俺もだ」
きっとまだ、自身が紡ぐ言葉の意味も全てわかっているわけではない。
それでも、分からないことを怖がることなく、前向きに知らないことを知ろうとする姿が、あまりにも健気で愛おしかった。
【あたたたいの伝え方】
おしまい
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以上、SSでした!
こちらのブログで少しでもご興味を持っていただけましたら、ぜひ本編もご覧いただければ幸いです☺️
https://fujossy.jp/books/29801
七節エカ様のとっても素敵なイラストにも注目ですよ〜👀!!
また、もし感想などいただけたら、執筆の励みになります!
X(@Mahir0_218)でもお気軽にお声がけくださいね🌷
ついに来月末、結果発表です……!
引き続き応援いただけますと幸いです🌷
この度は、ありがとうございました〜!
