ツーリスト 11
ツーリスト 11
すっかりなにもかもが面倒になった俺はウイスキーソーダをすすりながら、ぐったりとシートに埋もれる。
帰ってきた彼は俺を見ないように横を通る時は不自然に前を見てる。シートに座る時こそ視線を合わせてろうと頑張った。が、やはり避けられた。
前で隣の男と低い声で話す彼の声が聞こえる、なんだ?
通路側の席に座るからと彼に断りをいれてるんだ。しかし、この隣の男はなんだって席を変わる理由なんか聞くんだろうな。
肝心の彼の答えは、となりの女性が映画を見終わったのか、またアレコレと話しかけてくるので聞こえなかった。
その後も女性たちと適当に話を合わせながら喋りながら、連絡先まで交わし合った。
こんちくしょう……
普段なら上手くかわすのに。