『彼の地』納品しました
今回のコンテストは新人さんが参加資格。お題は時代物。サイトに公開を始めたのは3年くらいですが、書き始めて10年たっているし、42↑オジコンで入選させてもらっているので資格なし。
山科かーさんが参加資格無いけど時代物書こうよとイベントを立ち上げてくれました。時代物って現代でなければいいのかしら?まずはそこから始まりました。
時代物をほぼ読んだことがない。「アンナカレーニナ」のロシアや「レ・ミゼラブル」のフランス。切り裂きジャックが出現したロンドン。さっぱり日本の過去に遡れない。かといって海外が舞台の物語を書ける気がしない。
時代物、時代物。
うーーん。うーーーん。
そしてようやく降りて来たのは「家に喰われる。家に喰われるために生まれて来た」と言う華族の男性。年齢25歳前後(未婚)
食うに困らない身分のくせに贅沢だと言われながら攻められる?なんだかそれは違う気がする。確か華族って廃止になったり財産に見合った高額の税金のために没落したよね。それで男娼に身を落とす?
違うな……。
次に浮かんだのは「知覧」
まだ一度も行った事のない場所……特攻隊?
そこから「私」と「君」の映像が流れ始め、私はそれを見た。あまりに悲しいストーリーでこれをBL枠で書いて読まれるだろうか?と考えた。でもそういうことではない。あの時代、こんな二人は沢山存在した。日本に生まれ日本のために死ぬことを義務付けられた多くの人達。
いや、日本だけではない。世界中で死ぬこと、殺すことを義務づけられた多くの人が存在した。悔しさと無念さを胸に死んでいった人たちがいる。
そして今、憲法を変えようとやっきになっている政治家たちが蠢いている。彼らによって変えられた法律や憲法によって武力行使が可能になったとしても、政治家たちは戦争にいくわけではない。実際に武器を手に大義名分の為に命を落とし、奪うのは私達。子供や孫、大事な人達なのだ。
「私」が感じる悔しさ、遣る瀬無さ。また逢える、その言葉を胸に旅立つ「君」
かつて多くの人が味わった体験と喪失。それを忘れてはいけないと感じました。
自由を選べる世界。自分の人生を決められる世界。それを私達は大事にしなければ。それを得られないまま旅立つことになった人たちのためにも。