最優秀新人賞受賞 謝辞
このたびは「新人作家コンテスト 時代物 短編BL」におきまして、最優秀新人賞をいただき、まことにありがとうございます。
「bone」は、既にTwitter等では何回か話題にいたしましたが、とあるオフ会がきっかけで書いた作品です。
その日、私はfujossy様、また他の小説投稿サイトにて執筆をされている方々数名と、都内某所で語り合う機会に恵まれました。とは言えそこはざっくばらんな、冗談の飛び交う場だったわけですが、その際にたまたまこのコンテストが話題になりました。そこで私は半ば酔っぱらいながらも「時代物」というテーマについて発言しました。
自分は歴史に疎く、知識がないから時代物は不得意である。また、時代物コンテストの定義としては、洋の東西を問わず、時代設定も問わないというが、それでは現代ものを書いたって「現代」という時代を描いているわけだから、結局なんでもありということになるんじゃなかろうか。逆に「縄文時代」でもいいのか?などと思ってしまう。
……確かそんなことを言いました。
私が「時代物」と聞いてぱっと思い浮かべたのは、ゲームなどでも人気の戦国時代、それから衆道文化の花開く江戸時代、身分格差で美しい悲恋物語が生まれそうな大正浪漫。外国が舞台なら中世ヨーロッパの貴族、もしかしたら魔女狩りなどをテーマにしたゴシックな作品を書く方がいらっしゃるかもしれない。そんな風に思っていました。
だから、「縄文時代」のことは「そんな馬鹿な設定で誰が書くって言うのよ」、そういう意味を込めて冗談として発言したのです。
だって、人類の黎明期ですもの。
子孫繁栄が最大かつ唯一と言っていい、「生きる目的」でしょう。
貝塚でボーイズがラブしていたら、人類は滅亡してしまうのです。
そんな時代にBLなんて無理だよねえ、アッハッハッ、とその場は終わったと思います。
ですが、天邪鬼な私は「どうにかして縄文時代のボーイズがラブできないか」を考えはじめました。
どっちにしろ、正統派の時代物を書けるだけの知識も技量もない。それならば、あえての縄文BLに真正面から取り組んでみたらどうなるのか、チャレンジしてみよう。
その結果が、この作品です。
冗談から生まれた作品ではありますが、書く時は真剣でした。
あの時代の人々は、おそらく「生まれてくること」「成年まで生き延びること」「次の世代に命をつなぐこと」については、現代人よりずっと過酷で必死だったはずだと思うと、そうならざるを得ませんでした。
思いのほかたくさんの人に読んでいただけました。たくさんのリアクションもいただきました。そして、今回このような賞もいただくことができました。
書いてよかったな、と思っています。
あの日一緒に「縄文BL!」と笑ってくださったフォロワーの皆さま、コメントを書いてくださったり、リアクションボタンを押してくださったりした皆さま、コンテストで投票してくださった皆さま、選考していただいた運営の皆さま、そして読んでくださった皆さま。そうだ、それに長い縄文の時代を生き延びて、人類を存続してくださったご先祖の皆さまも。
関わった全ての方々に最大限の感謝を贈ります。
ありがとうございました。