新着レビュー
BL×ミステリー×ホラー
この様なとてもむずかしい題材に挑まれ、最後まで書ききったことがまず素晴らしいことだと思います。
本作は雰囲気は始終不穏さを孕み、繰り返される「みんな少なからず本性を隠して生きている」というフレーズが、作者様にとってこの物語の大切な核なのだと思います。
中盤の狂気のシーンは大変力が入っていて読み応えがありました。
私の好みになりますが舞台のムラ社会的な空気や学校生活をキャラクターの台詞だけではなく場面と情景描写で描いたところが是非見たいです。それと後半で出てきたとある方が序盤にでてきたらどんなふうになっていただろうか?と考えました。
この度は弊企画にご応募いただき、この様な作品と出会えましたご縁と作者様に改めてお礼申し上げます。
言葉の西陣織
寵愛の言葉に違わぬ切れ間のない愛が主人公に注がれる和風ロマンスBLだと思いました。
遥かなる時の中で等のネオロマンスゲームを嗜まれる方はきっとこの作品の甘く濃厚な二人の情の交わりを堪能できると思います。
言葉の一つ一つが温度と色彩を持っており、紡がれる世界観は春霞にけぶる花の山の様です。
目覚めから始まる冒頭から丹念に、もはや入念にと言って差し支えない濃度で描かれる主人公二人の時間は正しく蜜のように甘いです。作者様の熱量が作り上げる言葉の西陣織のように感じました。
とても一気に読めるような軽い物語ではありません。絵巻物のように少しずつ巻き取って読める恋愛物に浸る時間を求めるなら、是非本作に触れてみては如何でしょうか。
この度は弊企画にご応募いただき、この様な作品と出会えましたご縁と作者様に改めてお礼申し上げます。