心の底の冷たい哀しみがつらい
 嫌な経験をすればするほど、純粋でなくなっていく哀しみ。物語の底にまるで川のようにそれが流れている気がしました。  小学生での体験があるゆえか、騙されて先輩に犯されたときも、同級生に脅迫まがいで犯されたときも、心は冷たく冷えていて、とてもセックスをしている雰囲気でないところが、読んでいて悲しくつらいです。  最後で兄に迫りますが、本当に犯したのかどうかはわかりません。ただ、昭継の心が温もりを取り戻しますようにと祈ります。