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第25話

「・・・あー、もう無理、足痛い。」 「大袈裟だろ、って言いたいところだが流石に俺も疲れた・・・」 二人揃ってソファに沈む。 もう、くたくただ。 忙しいとは聞いていたし、覚悟していたつもりだが、予想を遥かに上回る盛況だった。 昨日が休みだったからというのもあるだろうが、それにしても混みすぎだ。 「優くん、崇くん、お疲れ様。」 テーブルの上に湯気のたったマグカップとトレーが置かれる。玄米茶とBLTサンドだ。 「ありがとうございます。春日さんも座って下さい。」 「ありがとう。そうですよ、春日さんも休んで下さい。」 有難いが、春日も今日1日中働き通しだっただろう。殆ど厨房は春日だったのだし、疲れていないはずがない。 「ふふ、ありがとう。」 そう言って、春日もソファに腰掛ける。 優は玄米茶のカップを口元まで持って行って、そっと香りを吸い込んだ。 今日一日、チョコレートや甘い物の香りばかり嗅いでいた鼻に、玄米の深い香りが優しく漂う。 口を付けて、ゆっくりと飲み込むと、染み込むように温かさが口に広がる。 ほっとする。 「それにしても、毎年こうなんですか?だったら大変ですね・・・」 「そうなんだよね〜、流石に人手足りなくて期間限定バイト募集してるんだ。」 大体の子は崇くんに耐えられなくて辞めちゃうんだけど、そう耳元で呟かれる。 優も今でこそ崇と仲良くやれているが、最初は苦手だったから気持ちはわからなくもない。 「まぁでも、優くんがいるから去年より楽かな・・・」 「あぁ。」 去年を思い出しているのか、遠い目をする二人。 崇が優を認めるような発言に同意するするとはどれほど大変だったのだろうか。 「まぁ、でも本当に辛いのは明日だからね・・・」 はは、と引き攣った笑いを零す春日。 すると崇は思い出したように、優を呼んだ。 「明日は藤堂って奴が手伝ってくれる。変な奴だから気をつけろ。」 「こら、変な奴とか言っちゃダメだよ?」 そっと嗜める春日。 大丈夫だ、きっと崇よりやりにくい相手はそういないだろうから。

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