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第24話

「おい、昨日は・・・その、ありがとな。」 次の日、優が店に行くと崇はぶっきらぼうにそう言った。 「う、うん・・・!!」 機嫌悪そうにぶすっとしているのは、彼が恥ずかしいときの癖だ。 「優くん、崇くん、今日と明日は特に忙しいから気合い入れてね・・・?」 2階から降りてきた春日がそう言う。 明日はバレンタインデー、愛の誓いの日だ。 バレンタインデーは元々ローマのバレンタインという男の処刑された日で、家庭と結婚の女神ユーノーの祝日である。 海外では男性が女性に花束などを渡すけれど、日本では製菓会社の策略でチョコレートの祭りになっている。 斯く言うこの店も、その恩恵を受けていることは否めない。 チョコパイ、チョコレートタルト、ガトーショコラ、生チョコ、焼きチョコ、チョコレートプリンなどなど・・・ 持ち帰ることの出来るお菓子の他に、店内のみでチョコレートフォンデュが期間限定メニューに追加されている。 さっき味見させてもらったが、美味しすぎて卒倒するかと思った程だ。 「ほら、ぼさっとしてないで仕事すんぞ。」 肘でつんつん、と突かれる。 昨日のことなんて無かったかのようにいつも通りの無愛想な崇である。 しかし何かが違う、いつもより少し柔らかい。 張り詰めいた何かが消えたように思う。 それはきっと、幼い頃からの罪の意識なのだろうか・・・?

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