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地獄のヴァレンタイン 当日 アザーサイド

地獄のヴァレンタイン 当日 アザーサイド 「 ねえ、ヒロシさんたら、今日の夜誘われてないみたいなんだよ 」 「 へぇ? あの割井さんが、誘ってない? 出張でもいってるのか?」 「 うーん、違うと思う、ヒロシさん微妙に機嫌が悪いから、ここ何日か…… 」 「 そこ!おしゃべりしない!」 サンドラさんの持ってるオタマが飛んできた。 「 うわ!熱! なんだよ〜乱暴だよ 」 「 今、微妙に大切なとこやってんのに、私語禁止 」 「 ごめんなさい 」 「 あら、杏香はいいのよ、本日のスペシャルコントリビューター(貢献者)なんだから 」 「 ひでぇ……差別だ 」 「 何か言った?え? 」 「 いえ、やります……すみません……」 朝から僕たちは、 サンドラさんの部屋であるものの製作を手伝わされてる。 あるものって、とても僕の口からは言えないんだけど…… あの、その、 先月末はサンドラさんの誕生日。 本当にお世話になったからなんかプレゼントしたいって言ったら、 じゃあ、協力して!ってお願いされた件…… 断れなかった。 だって僕が断ったら王国のを取るって、王国はサンドラさんになんか弱みを握られてるから断れない。 だから僕がやるしかなかったんだけど…… 「 安藤!スプレーかけて 」 「 この金粉? わ、えげつな…… 」 「 何いってる! サンドラのハッピーヴァレンタインなんだから、 先っぽにダイヤを仕込みたいくらいなのに…… ボソボソ…… 」 「 え?サンドラさん、聞こえない。 何? 」 「 だからー、 最近売り上げ落ちてんのよ、 だからダイヤモンドがパールになっちゃったのよ〜 」 「 え?これの先っぽにパール?」 え、 ドロドロに溶けたチョコレートが 二重の鍋の中。 白と桃色と紫と、茶色と、、 ど真っ黒と。 次々と手際よくオタマを駆使してサンドラさんが型にチョコを注ぎ込む。 それをボール一杯の氷水で冷やすのが僕の役目。 そして、固まったら取り出してそれをコーティングするのが王国の仕事。 まるでチョコレート工場のチャーリーの子分になった気分。

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