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地獄のヴァレンタイン 当日II

うちのクラスの子たちはとにかく仲よくて、 ヴァレンタイン、もらえない男子が居るのがかわいそうと、 朝一番の黒板に 『 みんなの気持ち ハートフルだよ、○高生! 』 と書いた女子。 教卓の上には山盛りのお菓子をデコレーションしている。 ほんとうに可愛いやつら…… 俺もその中から ちょっと頂戴した。 手作り風のピンク色のビスケットにチョコでLOVEって書いてある。 なんかほっくりして教員室に戻ると、 教員室にも甘いチョコの香りが満ちていた。 本命チョコ以外は学校に持ってくるときは、 彼らなりに周りの子たちにも気を使うのが最近の定番らしい。 何年か前には、教員の中にも大きな紙袋を隠しながら持って帰る人も居たけど、 生徒たちがこんな風に変わってくれたから、 今はとても穏やかにヴァレンタインを迎えてる。 教員同士なんて勿論NO! まぁ本命の間のことは知らないけど…… そういえば、 一昨年、菅山先生からなぜか 高級チョコを貰ったよな…… あれ、家に帰ってどうしたんだっけ…… ここにはもう居ない人のことを思い出したら、 連鎖反応で胸いっぱいに広がった 彼の匂いに、 心は急に心細くなる。 あいつ、どうしたんだろう、? 昼休み、そっとスマホを取り出して確かめてみる。 忘れてる? まさか…… 出張? 聞いてない…… 弁当を食べる箸も進まない。 馬鹿みたいだ…… 弁当のカツがハート型。 俺は結局弁当を半分以上残した。 お前のせいだ!

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