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第1話
お届け物 哀しいホワイトデー
朝から、ソワソワが止まらない…
思いを確認しあったヴァレンタイン
その後、一緒にお昼を食べたり、学校帰りに街をぶらぶらしたり、
相変わらずのお付き合い。
恋愛の経験値が圧倒的に足りない僕は、
恋人?まで行ってる?
どうかな?
という、嬉しいながら、少しまだ怖いところが残っているお付き合い。
今日のホワイトデーは
期待と不安で
ソワソワしてる。
姉貴は昨日から帰ってきてないし、
お父さんは朝早くから新年度の会合があると学校へ行ったから、
静かなお昼前。
何かしてなきゃ落ち着かない僕は、
春の柔らかな日差しがさしている居間で、彼にあげようと思ってるラップブレスを編み始めた。
カードを作った糸や革紐を混ぜながら、ビーズの代わりにポイントに小さなボタンを入れながら、
男性の手首に合う黒を基調に暗めの色合いのデザインを考えながら編んでいたら、
気がつくとお昼はとうに過ぎて、
午後3時。
もうこんな時間…
連絡?とスマホを確かめるけど、
メッセージはまだ入ってない…
僕から送ってみようか、メッセージ…
どんどん気持ちが沈んでくる。
どうしたの?今日は会わないのかな…
僕より、他の人と会ってるの?
居間の日差しが陰ってきて、どんどん僕もくらくなる。
お昼も食べなかったし、こんなんじゃ夜も食べる気にならない。
メッセージの音が鳴る。
慌て手にしたスマホにはお父さんから
のメッセージ。
同僚の先生たちと食事をして帰ります。響子は気にせずに、1人で夕飯は食べてください。遅くなりそうなので、戸締りはきちんとね。
はー…ため息。
こんなに落ち込んでるのに1人でご飯なんて、食べる気にもならないな。
暗くなってきたのに電気もつける気にならなくて、もう殆ど泣きそうな気持ち。
ピンポーン
はい
宅配便でーす。
はい、今開けます。
ハンコを持って、玄関のドアを開けると、小さな箱を持った配達員の人。
渡されて印鑑を押すと、僕宛の荷物だった。
誰からだろう?
差出人は知らないお店の名前
思いつかない荷物だから、開けるのも何となく躊躇した。
もしかしたら、やばい荷物を姉貴が僕の名前で、送らせたのかも、
そうだ、そうに違いないや
と決めつけた僕は、その荷物を開けずに、玄関のカウンターの、上に置いておいた。
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