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第2話
朝8時30分。遅刻せずに登校し、自分の席に着き睡眠をとっていた俺を容赦なく騒音が襲う。
「おっはよー!」
今日も今日とてこのクソ眠い朝っぱらから元気な挨拶をしてくるコイツは、どうやら数少ない俺の友人(自称)らしい。
「はよ」
「うんうん!鈴くんちゃんと挨拶返してくれるようになったなぁ〜。めっちゃ嬉しいなぁ〜!」
もう殴ってもいいだろうか。煩いしウゼェ。俺の睡眠を邪魔する北山 透流(きたやま とおる)、16歳、葛城(かずらぎ)高校1年4組、出席番号10番の男を殴るどころか蹴り飛ばしたい。
そして、コイツの出席番号まで覚えてしまった俺を殴って意識飛ばして寝たい。
「2人ともおはよ。鈴は相変わらず眠そうだね。んで透流は鈴に殺される前に黙っとけよ。」
俺、結城 鈴(ゆうき りん)は、このニコニコ爽やかな笑顔で毒を吐く男、新田 隆都(にった りゅうと)に感謝した。
俺、透流、隆都の3人はみな別々の中学出身で、2か月前にこの高校の同じ1年4組のクラスメイトになって初めて顔を合わせた。
入学してしばらくは鬱陶しく俺に話しかけてくるヤツらがいたがそれも直ぐに止んだ。
例外を除いて。
その例外がこいつらで、余りにもしつこく付きまとうから仕方なく話すようになり、今では恐らく『友人』だと思われる。
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