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第43話

稔side あれから鬱陶しいくらいに冷夏に付きまとわれていた…。昼食どきにはお弁当を持って俺の教室に来るから、食堂に逃げたり、購買でパンを買って毎日違う場所で食べたり……。 それなのに、何故かいつも冷夏は俺のことを見つけて一緒に食べようと誘ってきた……。 「何故いつも違う場所にいるのに見つけられるんですか…?」 「ん〜?それは秘密かなぁ〜。それ知っちゃったら稔先輩が隠れるの上手くなっちゃう」 「……そうですか」 情報網を使ってどれだけ調べても、彼の情報源を見つけることが出来なかった…。俺のスマホや色々な持ち物も調べたが盗聴器も発振器もGPSも何もなかった……。 「もう、私の負けでいいです。これからは生徒会室に来なさい。騒がれるのは嫌いなので二人で食べることにします」 「本当にっ!!やった〜!ありがとうございます!稔先輩っ!!」 犬の耳と尻尾が見えるみたいだ…。それもすっごく上機嫌な感じ。ここ数週間、ずっと冷夏から逃げるように生活していたが、どこにいても見つかってしまうので諦めることにした…。 逃げ回ってるせいで変な噂も出てきたし、何よりすごく騒がれたから、嫌になったのだ。

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