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第74話
春side
これでやっと幼馴染も元気になる…。ユウとパートナー契約が切れたと泣きついてきたときには何事かと思ったけど……。
「夕くんは、陵樹と一緒にいて幸せ?」
「うん…」
「それじゃ、もう離れちゃダメだよ?また何かあったら、すぐ僕に相談してね」
「わかった!」
"幸せ?" と聞けば、ふわっと笑ってて、本当に幸せそうな表情を見せてくれる。
夕くんもここを開ける人が出来たんだと思うと嬉しいような、ちょっと寂しいような気がするずっと僕のそばにいればいいのに……。
「嫌なことは嫌って言うんだよ?」
「うん」
「陵樹は、あんまり喋らないから分かりにくいかもしれないけど、すごくいい人だからね」
「…うん」
なんて、いつまで失恋を引きずって情けない…ちゃんと忘れて、迷惑をかけないようにしないと…。夕くんのためにも……僕のためにも…
「ほら、ついたよ。行こ?」
「……うん」
「大丈夫だよ。陵樹もきっと夕くんのこと待っててくれてるよ。今頃寂しいって言ってるはずだから、会いに行こう?」
「…うん、わかったの」
緊張してるみたいで、僕の服の袖をぎゅっと、握りしめながらドアをそっと開けた……。
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