87 / 88
第87話
陵樹side
熱が下がり、元気になった夕と共に、水族館に行く。ワクワクしているようで、靴を履きぴょんぴょん飛んでいる。ちゃんと履けているのを確認しているようだが、可愛すぎる…。
「じゅんび、できたの!」
「そうか、なら行くか」
「うんっ!」
普段は送りの車があるから、電車に乗るのは久しぶりだ。中学の時一度だけ、我が儘を言って乗った事がある。
その時に乗ったのが最初で最後だ。覚えているとは思うが、少し不安だ。夕にもそんな緊張が伝わったのか不安そうにしていた。小さいから逸れたら見つけられなくなりそうだなぁ…。
電車から降り、改札を抜けたところで不思議そうに立ち止まっている。あー、俺も始めそれ出てこなくて困った記憶があるわ。
「あー、それ、出て来なくていいやつだから。早く来い。後ろの人が困ってる」
「う、うん」
「ほら行くぞ」
チケットを買って、パンフレットでどこから回るか決めて見に行くか。イルカショーと、アシカショーは見せてやりたいしな。なんて、プランを考えながら歩いていた。
「チケット、かうの!」
「春に貰ったのか?」
「うんっ!春くんが、おこずかい、くれたの!むだずかいは、ダメって言ってたの!」
春には世話になったし、お土産買っててやるか。夕と仲直り出来たのは春のおかげだしな。あの時はどうなるかと思った…。
「そうか、ならそれで春にお土産か、自分のに使え。チケットは俺が払うから」
「…ん、わかったの!」
ワクワクしてるようで浮き足立っている。逸れないようにしっかりと手を繋いでから、中に入った。じゃないと走ってどこかに行きそうだし
ともだちにシェアしよう!