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第7話

数日後、俺は瞬くんにお別れのメッセージを送った。 幸い(?)瞬くんはあっさりと了承してくれて、その後校内でバッタリ会っても、全く気まずくはならず、挨拶程度はしてくれた。 噂では、また新たな男と夜の街を歩いてたとか何とか……。 でも俺にはもう関係無い。 ニャム太に、イケメンは好きにならないと決意表明したあの日、もう一つ決めた事があった。 遠くへ行こう。 ここではない、どこか遠くへ。 そこで、やり直すんだ。俺の新しい人生をっ! 俺はそれから必死に勉強して、なんとか関東の大学に合格した。 俺は一人っ子だから、親は地元に残って欲しかったみたいだけど、俺の決意の固さに折れたのか、最終的には賛成してくれて、快く送り出してくれた。 慣れない新幹線に乗って、住むアパートも決めて、髪も染めて、念願の大学デビューとなった。 * * * 四限の授業終了のチャイムが鳴ると、教授がプロジェクターのスイッチを切り、生徒がゾロゾロと教室から出て行く。 「修介、この後どうする?みんな残ってさっきの課題やるみたいだけど」 「あぁ、俺バイトあんねん。先帰るわー。また明日な」 「おー、じゃーなー」 大学では社会学部を専攻して、心理学を学んでいた。 ありきたりだけど、瞬くんとの出来事があって、人の気持ちって何なんだろうって少しでも理解したくて。 大学生活は、充実していた。 おのぼりの俺は、初めこそは緊張したけれど、大学三年になった今では、馬鹿騒ぎできるくらいの友人が何人かできた。 その友人達に、最近、思い切ってゲイである事をカミングアウトした。 飲みの席でとはいえ、もちろん初めは驚いて言葉を失っていたけど、修介だということに変わりはないからと、最終的には笑ってくれた。 瞬くんと別れてから、未だに新たな恋人は出来ていない。それどころか、好きな人さえも見つからかった。 でも、充実していたから、そんなのは全く気にならなかった。 飲んで、騒いで、大学行って、バイト行って。 目まぐるしく過ぎ去って行く日常に、小さな喜びを感じていた。 このまま何事も無く充実した毎日を過ごしたい。 そう思っていたんだ。 俺のこの日常を変えるきっかけになったのは、大学三年生の春、バイト先の飲み屋に新しいバイトが入ってきた事だった。
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