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第8話

「はじめまして、矢口翔平です!今日から宜しくお願いします!」 店長に連れられてやってきた翔平は、ヒマワリのようにニカッと笑って自己紹介をした。 「俺は北村修介です。これから宜しくー」 「はいっ!宜しくお願いしますっ!」 こちらが名乗ると、そいつはさらに声を強めて挨拶をした。 第一印象は、いい奴そう。 髪も金髪に近いくらいの明るい色で、パーマなのか、毛先がウェーブがかっている。 丁寧に眉毛も染めていた。 笑うと目が垂れて、優しく見える。 身長もまあまあ高い。180センチはありそうだ。 翔平の顔は整っていて、いわゆるイケメンというやつだ。 好きにならない部類だ。 店長は激励するように翔平の背中を叩いて、俺にハンディを手渡した。 「北村くん、矢口くんの指導お願いできる? 今空いてるから、バックヤードでハンディの使い方とか教えてくれてもいいし」 「はい、分かりました」 店長に言われたように、二人でバックヤードに入り、翔平に使い方を教えながら世間話もした。 「矢口くんって、大学生?」 「あ、はい!大学三年で、すぐそこの大学に通ってます」 「あっ、俺も同じ大学の三年だよ。社会学部」 「ヘェー?会った事無いですね! 俺は経済学部だからですかね?」 「学部違うと授業も大分違うもんね。あ、タメなんだし、タメ口でいいよ?」 「マジで?やったー!」 俺は思わず吹き出した。 また先ほどみたいに口を大きく開けて、ヒマワリの笑顔で答えたからだ。 (切り替え早すぎ。面白いからいいけど) 「北村くんは、関西出身なの?」 「へっ?分かる?」 「うん。なんかイントネーションが」 「やっぱ隠せないもんだね。和歌山だよ」 「ヘェー!なんでそんな遠いとこからこっちに来たの?大学デビュー的な?」 「……うん。まぁそんなもん」 「ヘェー、じゃあ一人暮らししてんだ? カッコい〜!」 ヘェーが多い奴だなぁと思いながら、いろんな話をした。 翔平は実家暮らしで、大学へは自転車で20分もかからないこと。 これまでコンビニ、ピザ屋、工場、ティッシュ配り、様々なバイトを転々として来た事。 もったいないくらいの美人な彼女がいて、最近初エッチをした事。 聞いてもない事もどんどん話すから、翔平といると楽しかった。 実は俺は人見知りだから、慣れるまで多少時間がかかるけど、翔平は特別だった。 その日のバイトが終わる頃には、お互いを名前で呼び合っていた。

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