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第17話

「景さんて、結構フレンドリーなんですね」 そう言うと、景はテーブルに頬杖をついて、こちらに体を向けてくる。 酔っているせいか、なんだか機嫌がいいみたいだ。 「……よく言われるんだよね。冷たそうとか、怖くて近寄り難いとか。修介もそう思う?」 「全然。なんだか親近感が湧きました。翔平と話してる時も、結構砕けてて、テレビとはまた違う顔だなって」 「まぁ、僕テレビのバラエティとか苦手だから、うまく自分を出せないんだよね。なんとか緊張しないようにとは思ってるんだけど、なかなか慣れなくて」 「へぇー、そうなんですか」 嬉しかった。素の彼を見ているようで。 そして、秘密を2人で共有しているかのようで。 もっと彼の事を知りたいと思った。 この会話を機に、彼は俺に色々と話してくれた。日頃の彼の仕事の事。よく行くお店。好きな音楽。何もかも新鮮で、ずっと聞いていても飽きなかった。時にはジョークも交えて、俺を笑わせてくれた。 「景さん、それ、ほんとすごいですね」 「修介さ」 取り留めのない会話をしている最中、ふと名前を呼ばれた。 「はい」 「敬語やめなよ。あと、その景さんっていうのも。なんかむず痒くて。同い年なんだから、呼び捨てでいいよ」 微笑みながらそう言われた。 いきなりそんな事を言われても、困ってしまう。 確かにこの短時間で彼に慣れたけれど、芸能人相手に急に馴れ馴れしく変えることなんてできない。 (やっぱ慣れとるなぁ芸能人はっ!こうやって気ぃ使ってどんどんファンを作ろうと必死なんやなっ!) 「あ、じゃあ……うん……」 うん、は聞こえないくらいの小さな声で言った。やっぱり変な感じ。 景は不自然な俺を見て笑って、唐突に切り出した。 「修介って彼女はいるの?」 「えっ?いや〜、いない、けど……」 「ふぅん。そうなんだ。そんなに可愛いのに」 そう言って景は、俺の頭に手を伸ばして来た。 長い指が俺の髪に触れて、そのまま顔を覗き込むように凝視される。俺も少し酔ってて今まで気付かなかったけど、景と距離がものすごく近い。 すぐ目の前に景の綺麗な顔がある。 景はそのまま俺の頭を撫で、髪を梳いた。 「髪、綺麗だね。サラサラで。少し茶色っぽいけど……染めてるの?」 景の手は何往復も俺の頭の上を行ったり来たりさせた後、毛先を親指と人差し指の腹で摘んで流した。 俺は苦笑いしながら、背中にタラタラと冷や汗をかく。 「あっ……うん!染めてる……」 その景の行動を見て、俺は再度確信する。 これだから!!イケメンは!!

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