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第18話
前言撤回。
やっぱりこのイケメンの事は別に何も知らなくてもいい。
芸能人だから遊んでそうっていうのは思っていたけど、やっぱり期待は裏切らないんだなって事がよく分かった。
(翔平はこの人の事、真面目で誠実でって言うてたけど、こんな馴れ馴れしくしてくるなんて、相当遊んでるに決まっとる!!)
でも、こんなに格好いい人に実際に会えるなんて、人生で一回あるかないかだし、今日は来てよかったのかな。
そんな事を思っていたら、タイミング良く翔平が戻ってきた。
そろそろ終電の時間だからと、そのままお開きとなった。
皆帰り支度を始めて、二次会へ行く者は準備をしていた。
翔平は俺の気付かない間に相当飲んでいたみたいで、今まで見た事がないくらいに酔っ払っていた。
俺はフラフラになっている翔平の手を引いて、無理矢理歩かせた。
「えー?もう帰んの〜?やだ〜」
「何してんねん翔平!お酒弱いんやから、飲みすぎたらあかんやろ!」
「だってー、みんなに会えたの久々で嬉しいんだもーん」
「ぎゃっ!」
翔平は俺の肩に腕を回して羽交い締めにしてくる。
俺と翔平は頭一つ分違うから、容易に翔平の腕の中に包み込まれてしまう。
「もう、離せや酔っ払い!」
えへへ〜、と翔平は顔を近づけてしばらく離さなかった。
酔うとくっつきたくなるみたいで、いつもの事だからそのままにしておいた。
頬が押しつぶされてタコの口になっていると、なんだか視線を感じて、フッと顔を上げた。
景が、店の前に設置されたベンチに座って煙草を吸いながら、俺の事をじっと見つめていた。
翔平は千鳥足になって、俺は揺さぶられてしまうけれど、その景の視線から目が離せないでいた。
(あぁ、もしかして、アホみたいやなと思ってるんやろか……こうやって改めて見ると、ホンマにカッコええな……)
そう思ってると、景は煙草の火を消して、こちらに歩み寄って来た。
「修介。連絡先交換しようよ?」
俺は未だに翔平に抱きつかれたままだったけど、まさかそんな事を言われるだなんて微塵も思ってなかったから、すぐに反応出来なかった。
「えっ?あ、もちろん!」
俺たちはスマホを出して、お互いの番号を交換した。藤澤 景という名前と番号が俺のスマホの画面に表示されると、なんだか胸が高鳴った。
凄い。俺、芸能人と番号交換してしまった。
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