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第70話

テーブルに運ばれてきたワンプレートの料理を食べながら、俺は切り出した。 「瞬くんは地元の大学通っとるんよね? 何勉強しとるん?」 「あぁ、俺はメディア芸術学部ってとこにおって、ざっくり言うとコンピュータグラフィックスとか、Webデザインとか勉強しとる」 「へぇー、瞬くんってそういうのに興味あったんや」 「ほら、俺ゲームとかパソコン好きやったやろ?自分でも何か発信出来るような人になりたいなぁと思って今の大学入ったんよ。いつかはWebデザイナーとか、アートディレクターとかになれたらええなぁと思ってる」 俺は思わず使っていたフォークの動きを止めた。 やっぱり、みんなそうやって夢を持って頑張ってるのが普通なんだ。 俺は本当に何をやってるんだか。 「凄いなぁ。もうちゃんと将来何やりたいか決まっとるんか。俺なんて未だにフラフラしとって、何も決まっとらんのに……」 ちょっと落ち込んでため息をつくと、瞬くんはあはは、と声に出して笑った。 「修介のそういう所は全然変わっとらんなぁ!そんなに深刻な事でも無いのに人生終わったみたいな顔してネガティブになっとって。高校の頃思い出すわー」 ムム、と唇を尖らせる。 ネガティブなのはきっと生まれつきだ。 「でも、弱気でいるかと思ってたらいきなり別れてって言うてきたり、一人で上京したりする度胸や原動力も持ってて、修介ってなかなか面白いなぁと思うよ」 これって褒められているのか? よく分からないからとりあえず、ありがと、と礼を言う。 瞬くんは笑って、ゆっくりとコーヒーを味わっていた。 「そういや、迷惑や無かった?俺から連絡来て」 「え?いや、迷惑だなんて思っとらんよ。もう瞬くんとは連絡は取らへんやろうなぁと思ってたから、ビックリはしたけど」 「なんかさぁ、ふと修介の事思い出して。急に会いたくなったんよ」 「えっ!」 会いたくなった、と言われてなんだか照れてしまう。 確かに俺も最近、たまに瞬くんの話題を出していたけれど。 「なんとなく会いたいなぁーって思ってたら、奇跡的にチケット取れたやろ?あ、これ神様が会いに行けって言うてるんかなぁと思って連絡したんよ。シカトされるかと思ったけど、電話の出方、全然変わっとらんかったから可笑しかったで」 高校の頃、瞬くんから電話があると飛びついて出ていた。 だって好きな人からの電話なんて嬉しいに決まってる。 今もそれは変わっていない。景からの電話は飛びついて出るし。 「なんで、俺の事思い出したん?」 「それがさ、俺、最近まで大学の先輩と付きおうてたんやけど、別れてしもうて。そしたら、修介の顔が浮かんだんよ」 「へぇ、そうなんや?他に付きおうてる人はおらへんの?」 「ん? あ、そうや!それからまずちゃんと謝らんと!修介、あん時はホンマに悪かった!」 瞬くんはコーヒーカップを置くと、途端にテーブルに手をついて頭を下げた。 瞬くんの形のいい後頭部を見ながら何事かと慌ててしまう。

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