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第82話

映画を観てビルを出た後、そのまま歩いて近くの古着屋を三軒まわった。 瞬くんはオシャレだ。 聞くところによると、ファッションコーディネートサイトに自らのコーデ写真をアップしていて、そこそこ人気があって、そこそこ上位につけているらしい。 後でチェックしなくては。 瞬くんはチャンピオンのトレーナー、俺は買うつもりは無かったけど、瞬くんに似合うと乗せられて赤のタータンチェックのネルシャツを買ってしまった。 その後コーヒーショップに入って、一段落していた時に気付いた。 瞬くんとこうやって映画を観たり、買い物したり、お茶したりするなんて初めてだ。 付き合っていた頃はまだ高校生で小遣いも少なかったし、俺の家でゴロゴロしたりゲームをしたりする事が多かったから。 瞬くんとのデート。 めっちゃ楽しい……! 「ごめんな、俺の行きたいところに付き合わせてしまって。気になってた場所全部行けたから満足や!ホンマにありがとう!」 「ええんよ。俺も楽しかったし。オシャレな瞬くんが選んでくれたシャツ、めっちゃ気に入ってんで」 「おー、あれお世辞やなくてホンマ似合っとったで?修介は赤が似合うなぁ思うて。俺がやってるファッションサイトに投稿してみれば?面白いで。結構反応あるし」 「はー?俺には無理やで。カッコいい瞬くんやから反応あるんよ。見せて?どんなん?」 「ええで、ちょっと待っとって……」 瞬くんがスマホを取り出し操作していると、ニコニコだった瞬くんの表情が一瞬固まって、手の動きが止まってしまった。 「どうしたん?」 「……あー、何でもない。友達から連絡来とった。後で返信せんと。で、これこれ。これが俺」 瞬くんは何事も無かったようにまた笑顔に戻って俺に画面を見せてくれた。 そこには、『Shun』という名前で、うまく顔が隠れているけどまるでモデルのような出で立ちで写る瞬くんがいた。その横には、メンズコーディネートランキング7位と書かれている。

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