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第83話
「えっ、7位?凄ない?これ何千万って人がやっとるんやろ?ていうかこれみんなモデルとかやってるんか?みんなオシャレでカッコええやん!」
「いや、このランクは一般人やで。芸能人も沢山載せてるけどね。藤澤 景はやってないみたいやけど」
「はぁー、そうなんか……こんなオシャレな人達に紛れて載るなんて、瞬くんってホンマ凄いんやなぁ。将来モデルでもやっていけるんやないの……?」
「ハハ、大袈裟やなぁ」
夢中で写真を見ていたら、瞬くんが頬杖をついてこちらを覗き込んでいた事に気付いたから目線を移した。
「なに?」
「ん、いやー、なんか楽しいなぁ思うて。修介とこうやってんの。高校の頃こんなんしなかったもんな」
俺も今ちょうどそう考えていたから、瞬くんも同じ気持ちだったんだと思うと嬉しくて舞い上がった。
「ホンマ?俺もめっちゃ楽しいで!イケメンの瞬くんとデートできて!」
「ふっ、デートって。ホンマに付き合うてるみたいやな。……俺はええけどな。またそういう風になっても」
「だから、からかうなやって」
「からかってへんよ。万が一に藤澤 景と付き合えたとしても、こんな風に堂々と街なんて歩けないんちゃうの?周りにバレないようにコソコソするしか無いんやで?それって疲れへん?」
言われてみれば、そうだなと納得した。
瞬くんとだからこうやっていろんな場所に一緒に堂々と行けるけど、景だったらこうは行かない。只でさえ目立つ彼は常に変装して、満足に街を歩く事も出来ないのに、俺と普通のデートなんて出来るはず無い。
「大変かもなぁ……」
「やろ?だから俺にすればええやん?本気やで、俺」
「ふっ、だからもうええって」
何度もからかってしつこいなぁ、と半ば呆れながら適当にあしらってコーヒーを飲んだ。
でもこの時の俺は気付かなかった。
不穏な雲が近づいている事と、瞬くんの言う事は冗談じゃなく、本気だったんだって事。
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