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第84話

電車に乗ってアパートの最寄り駅の牛丼屋で夕飯を食べた後、近くのスーパーに寄ってお酒やおつまみを買って、家に着いたのは夜八時頃だった。 惣菜のパックやお菓子を机の上に並べて、缶ビールで乾杯した。 「修介はお酒強いんか?」 「ん。まぁまぁ強いかな。瞬くんは?」 「俺は自慢じゃないけどめっちゃ弱いで。多分これ一本飲み切る頃には顔真っ赤んなってんで」 「えぇ!意外やなぁ。なんか強そうに見えるけど」 「この前友達と飲み屋で飲んでたんやけど、初めて記憶失くして、気付いたら家のベットの上やったんよ。後から聞いたら友達が運んでくれたらしいんやけど、全然覚えてへんねん」 「ホンマに〜?そんなんなった事ないなぁー!」 昨日は瞬くんの帰りが遅かったからこうやって飲んだり出来なかった。 瞬くんとお酒を飲むのなんて事も初めてだ。 人生って、何が起こるか分からない。 景と会えた事もそうだけど、瞬くんとまたこうやって同じ部屋で二人で過ごす事なんて、もう絶対無いと思ってたから。 しばらく飲んでいたら、俺のスマホが震えた。 見ると、景からの着信だった。 俺はすぐに飛びついて出てしまおうかと思ったけれど、すぐに冷静になってスクッと立ち上がった。 「ごめん、ちょっと電話してきてもええ?」 「うん、ええよ」 瞬くんの前で電話なんて出たら何をブッ込まれてしまうか分からないし。 玄関を出て、外階段を何段か降りてからそこに腰掛けて通話ボタンを押した。

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