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第159話
「ふぁ……ン…」
そのまま俺の舌を追いかけるように中で動き始める。
やっぱり体が強張ってしまったけれど、俺もそれに応えるように、口を開けて舌を絡ませにいった。
チュク、チュ、とやらしく水っぽい音が部屋中に響き渡る。
ダメだよ、ここ、お店なのに。
いくら完全個室とはいえ、外に音が漏れていないだろうか。
今、誰かにその襖を開けられたらどうしよう。
頭では焦ってそう考えているのに、唇は止まらなかった。
溺れないようにしながら、自分も必死で景の舌を追いかける。
あまりの快楽に眉尻が下がって、身体中の力が抜けた。
一度快楽を味わってしまったら、お互い簡単に引き下がれなくなった。
唇が腫れそうなくらい、熱いキスだった。
最初はたどたどしく動いていたそれは、どんどんとブレーキが効かなくなって、何度も角度を変えながら味わった。
景とのそれは、やっぱり凄く気持ち良かった。
「っ……はぁ……」
このまま蕩けてしまいそうだったけど、どちらからともなく唇を離す。
瞼を少しずつ持ち上げると、頬に手を添えられて笑われた。
「修介。顔真っ赤だよ」
「だっ!だって……」
座ったまま背中に手を回され、ギュッと抱き締められる。
景の胸に埋まると、心臓の音がドキンドキンと言っているのが聞こえて、俺に劣らず、景も早鐘を打っているのが分かって嬉しくなった。
何でも完璧で冷静な景なのに、俺との行為でこんなにもドキドキしてくれるなんて。
「帰りたくなくなっちゃうから、なるべく触れないように我慢してたんだよ?それなのにもっと触ってもいいだなんて、僕には毒だよ」
「あっ……そうだったんや……」
「修介は、酔うと素直になるんだね」
より一層手の腕の力を込められる。
さっきからお互いの膝も当たっていて、なんだかエロい感じだ。
すごい。景がこんな風になるなんて知らなかった。
フワフワの毛布に包まれている暖かい朝のように、ジワジワと幸福感に包まれていく。
「景って、キス、上手やなぁ……」
「ふっ。そう?ありがと」
「なんか……力抜けてしもうたやんか」
「相性バッチリだね。僕達」
身体を起こすと、俺の頭を撫でてくれた。
「これからよろしくね、修介。大事にするからね」
「う、うん。俺も、大事にするから、景の事。ホンマに……好きやで?」
「うん。ありがと。もうそろそろ、帰らないといけない時間だよね……最後に、もう一回キスしよう?」
「……うん」
夢みたい。でも、夢じゃない。
この人と、これから一緒にいられるんだ。
俺たちは飽きもせず、キスをし続けた。
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