232 / 454

第232話 おまけ side景 修介の友達

修介と翔平は買い物に出かけてしまった。 今この部屋にいるのは、修介の友達の晴人くんと秀明くん。 秀明くんはもう僕に慣れたのか、僕に芸能界事情を色々と尋ねてくる。 こうやって訊かれるのは得意では無いけれど、修介の友人だからか、嫌な気分ではない。 晴人くんは、一緒に話しているとなんだか安心する。 口数は多くはないけれど、あんなにうるさく絡んでくる翔平や秀明くんに冷静に対応している辺り、周りをよく見れる人なのだろう。 背や体つきが修介とよく似ている秀明くんは、会話が途切れた後に僕の顔をジッと見て嬉しそうに笑ったから、僕も釣られて笑った。 「どうしたの?」 「いや、まさか本当に修介と付き合ってるなんて、未だに信じられなくて。いつから修介の事好きだったんですか?」 秀明くんは顔が赤くて上機嫌だ。 やっぱり、そういう話が来るか。 でもまぁいい。折角修介の友達と会えたのだから。 「そうだね。修介の元彼に、修介とやり直そうと思ってるって言われた時かな。はっきりと自覚した訳じゃないけど、あの時、震える程怒りが満ちてきてね。あ、修介から元彼の話は聞いてる?」 「はい、聞いてますよ!そっか、じゃあそん時からもう両想いだったんだ」 「……」 秀明くんは、僕が修介に無理矢理キスをしたっていう事は知ってるんだろうか。 今思い返してみても、僕のあの言動と行動は幼稚すぎて消し去りたい過去だ。 そんな時、僕らの会話を静かに聞いていた晴人くんが口を挟んだ。 「あの、修介の事、ちゃんと本気なんでしょうか?」 僕は目を丸くした。 秀明くんも然り、焦ったように晴人くんの腕を掴んだ。 「何言ってんだよ晴人。失礼な事言ってんなよ」 「俺、ちゃんと聞いておきたいんです。藤澤さんって、ゲイじゃないんですよね? 修介は元からそうだったみたいだから本気だっていうのは分かるんですけど、もし一時の流された感情で修介と付き合ってるんだったら、修介が藤澤さんにこれ以上のめり込む前に身を引いてあげて欲しいんです。修介の事、ちゃんと本気なんですか?」 晴人くんは、真っ直ぐに僕の目を見つめていた。 僕もその視線を捉えて離さない。 秀明くんは驚きの表情で僕らの顔を交互に見ていた。

ともだちにシェアしよう!