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第233話 おまけ side景 修介の友達
本気かって?
そんな事、当たり前だ。晴人くんに嫌悪感を抱いてしまったけれど、それはほんの一瞬で、次に訪れた感情は、安堵感だった。
晴人くんは、修介の事が心配なんだ。
修介は、幸せだろう。こうやって本気で心配してくれる友達に出会える事が出来て。
僕は嬉しくて、声に出して笑った。
「あはは。うん。そうやって言われるのも無理ないね。そうだね、僕は元は女の子が好きだったよ。でも、遊びとか一時の感情で修介の事を選んだ訳じゃないよ。本気で修介の事、愛してる」
僕がそう言うと、秀明くんと晴人くんは虚をつかれた顔をした後、お互いに顔を見合わせてからふふっと吹き出した。
「すげー。藤澤さん、愛してるとかさらっと言っちゃうなんてっ」
「なんだか、こっちが恥ずかしくなりました」
「うん、僕も恥ずかしい」
ハハ、と笑い合うと、晴人くんは安堵の表情を浮かべた。
「良かった。気持ち、伝わって来ました。修介、藤澤さんと喧嘩した時、もう諦めるって言ってる割には凄く寂しそうな顔してたんで。修介は本当に藤澤さんの事大好きなんで、これからも仲良くして欲しいです」
「そうそう!諦められてねーじゃんって思ったよな。修介、泣いたらしいですよ!元彼とそういう雰囲気になった時……」
秀明くんは慌てて口を手で抑えた。
しかし、僕は修介から聞いていたから知っている。
元彼の部屋でそういう行為に及ぼうとした時に、僕の顔が浮かんで出来なかったと言っていた。
泣いたというのは初耳だったけれど。
「大丈夫。その事は知ってるよ。修介泣いたんだ? やっぱり泣き虫だね、彼は」
「あ、知ってたんですか。はぁ、良かった。修介、すごーく恥ずかしそうに言ってましたよ!そこで、藤澤さんの事愛してるんだって気付いたって!」
「へぇ……」
「あ、それ、勝手に言っていいの?」と晴人くんは秀明くんの腕を肘で突いたけど、秀明くんは嬉しそうに笑っていた。
そんな時、勢いよく玄関のドアが開く。
「たっだいまー!!」
「ちょっ、マジでうるさいねんっ!近所迷惑やろうが!」
中に入って来た修介と目が合う。
セックスの最中はあんなに天使みたいに儚くて色っぽい顔をさせるのに、普段はたぬきの子供みたいにとぼけた顔してるんだよなぁ。
そう考えたらおかしくて、思わず吹き出してしまった。
「なんやねん、三人でニヤニヤしとって。何の話してたん?」
「いやー、別に? ねー、藤澤さん」
「うん、内緒」
「はぁ?気になるやんか!教えてや!」
「やだ」
内緒にしておいてあげる。
修介はエッチの時、『好き』じゃなくて『愛してる』って何度も言ってくれるんだって事。
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